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電子部品の調達先に関する雑記


もくじ

はじめに

この記事は、電子部品の購入方法をまとめた忘備録です。

はじめて電子部品を入手する人にとっても、概要を見渡しやすい様に書いているつもりなので、この記事を読めば電子部品を入手する手助けになる筈です。


電子部品の購入方法

電子部品を購入する方法は、大別して「実際の店舗で購入」と「電子商取引で購入」に分かれます。

電子商取引とはインターネット上の通信販売やフリーマーケット、オークションなどの総称で、宅配便などで指定した場所へ直接届く、実際の店舗では在庫を持っていない様な部品でも入手しやすい、などの利点から、近年は電子商取引で購入する方法が主流です。


用語が分からない

「自分で部品を探したいけど、そもそも用語の意味がよく分からない」という場合は、「トランジスタ技術」でお馴染みの CQ 出版株式会社が公開している、用語集を参照してみましょう。

参考にした記事や図面で書かれている部品を選ぶ時、その計算方法や計算式が分からない、という時は、CQ 出版社や半導体メーカーが提供しているオンライン計算ツールを活用すると良いでしょう。下記にツールの例を挙げます。


下準備

電子部品の購入に限りませんが、必要なものを無駄なく購入したければ事前の下準備が大切です。

準備を怠ると、実際の店舗で購入する場合は「必要な部品を探そうにも、机の上に細かく仕切られたケースや壁面に並んだ無数の引出し棚の前で散々迷った挙句、揃えられなかった」、電子商取引の場合は「必要な部品を買い忘れた結果、送料が二倍になってしまった」の様な事件が起きがちです。

下準備の手順の例は、次の通りです。

  1. 購入したい部品の型番をリストアップする。
  2. 部品の購入先を決める
  3. 購入先が公式ウェブサイトを開設している場合、とりあえず一通り読む。
  4. 公式ウェブサイト内で部品の型番を検索可能な場合、検索する。
  5. 検索した部品を扱っている場合は販売ページが出てくるので、ブラウザへブックマーク登録しておく。
  6. 実際の店舗で購入する場合は、店舗内の案内図が有るならば部品がどの辺りの棚に置いてあるのか確認して、スマートフォンのブラウザへブックマーク登録しておく。
  7. 電子商取引で購入する場合は、必要な部品を選んで数量を確かめてから、購入手続きを行う。

実際の店舗へ行った時に、欲しい部品が置いてある場所が分からなくて店員へ質問したい時は、ブックマークしたページを見せながら聞くとスムーズです。

参考 - 店員に対する質問の内容

実際の店舗へ行った時、店員へ質問可能な事は基本的に在庫の有無程度までだと考えて下さい。

それ以上の内容 ( 例えば、技術的な事項 ) は質問しても、おそらく返答して貰えないでしょう。これは決して意地悪という訳ではなく、何か事故が起きても責任が取れない事が理由の一つです。

個人で経営しているような店舗の場合は、何度も買って仲良くなれば、納入仕様書 ( データシート ) をどこで読む事が出来るのか位は教えてくれる様になるかも知れません。

なお、いわゆるジャンク屋では目的の物を自力で探し当てるのが基本 ( というか、それが醍醐味と言える ) です。

実際の店舗の中には同一地域内に複数の支店を有している事が有ります。その場合は支店毎の在庫情報が見れたりするので、公式ウェブサイトの案内をよく読みましょう。


使う量が多いなら、まとめ買い

抵抗やコンデンサなど細かい部品は、単品売り ( バラ売り ) に加えて 10 個や 100 個などの単位でのまとめ売りも販売されている事が有ります。

一度に使う量が多い、今回だけでは無く今後も少しずつ使っていく予定がある場合は、まとめ売りの方を買った方が一個当たりの単価を下げられるでしょう。


実際の店舗で購入

この項目では、実際の店舗へ行って購入する場合を取り上げます。

まずは服装について。実際の店舗は何処も通路が狭い、かつ、部品が通路際まで並んでいる事が少なくありませんので、うっかりカバンを棚に引っ掛けるような事を起こさない様、出来るだけ「小さめのカバンで両手が空いている」というスタイルを推奨します。

その他については、当ウェブサイトの支局へ掲載している記事を参照して下さい。


実際の店舗へ入店する時、入口周辺に店内で商品がどのように配置されているのか案内図が掲示されている場合は、それを確かめてから探した方が目的の部品を探し当てやすいでしょう。

なお、同一地域内に複数の支店が有る場合、支店毎に取り扱う部品が異なっている事が多々有ります。その場合も案内が入口周辺に掲示されている事が多いので、これについても確かめた方が彷徨わずに済みます。


実際の店舗で部品を選ぶ際、細かい部品が少なくない事、部品を静電気で壊すおそれが有る事から、店内に置いてある買い物カゴ代わりの小さなトレーへ載せて扱います。

棚や引出しから部品を取り出してトレーへ載せる際、部品を指で直接触るスタイルと周辺に置いてあるピンセットを用いるスタイルが有りますが、東京ラジオデパートや秋葉原ラジオセンター内に有る様な店舗の場合は、基本的に後者のスタイルです。

なお棚や引出しの部品を探す時、同じ場所へ長時間居座ったり、通路をずっと塞ぐと他の人が部品を探し辛くなるので、傍に別の人が居る場合は横に一歩動いたり、後ろを通れるように体勢を変えるなど、少しで良いのでお互いに気持ちよく探せるようにしましょう。


電子商取引で購入

電子商取引のうち、国内の事業者が運営するサービスから購入する方法は一般的なインターネット通販等と殆ど変わりません。公式の案内に従って注文と決済を行えば問題ないでしょう。決済方法も、クレジットカードや代金引換などが利用できると思われます。

一方、海外の事業者が運営するサービスでは支払方法を制限している場合も有ります。問題なく使用可能と思われる支払方法としては、クレジットカードやオンライン決済サービスが挙げられます。

セキュリティ面の基礎知識は、参考文献を参照してください。


インターネットオークション

インターネットオークションとは、インターネットを使用して行われるオークション ( 競売 ) の事です。

インターネットオークションに参加する場合は原則として会員登録が必要で、買い物だけならば無料会員で十分対応できると思われますが、出品する場合は有料会員への登録が必要になる事が往々にして有ります。


インターネットオークションの基本的な使い方は、次に示す通りです。

  1. オークションサイトで準備されている検索機能を用いて、希望する商品がないか検索して探す。
  2. 希望する商品を見つけたら、商品の状態や送料などを記載した説明文や質疑応答、現時点での最高金額を確認して、オークションへ参加するか決める。
  3. 希望する商品へ、応札 ( 現時点での最高金額を超えていて、かつ、自分の指定した金額で入札する事 ) する。
  4. 第三者が自分が応札した金額よりも上回る金額で応札した場合、一般的には、応札期限までなら再度応札して競り上げる事が可能。
  5. 自分が落札者になれた場合、出品者との取引情報が閲覧できる様になるので、それを元に届け先の伝達や支払いの手続きを順次進める。

商品の状態や送料などを記載した説明文や質疑応答ですが、随時更新されている事が有りますので、オークションが終了するまでは最新の情報がないか随時確認する事を推奨します。

応札する時、商品そのものの状態や金額は勿論ですが、送料や支払条件についても注意して読み込む事が大切です。出品者の中には、商品本体の金額は手頃な価格に設定しつつも、送料や手数料を通常では有り得ない様な金額を設定していたり、支払条件を限定している事が有ります。


オークションの最高金額の公開有無ですが、以下の形式に分かれています。

  • 現時点の最高金額を常時公開していて、その価格より高い金額なら応札可能
  • 現時点の最高金額は非公開で、出品者が指定した日時に開札して落札金額と落札者を公開

一般的には現時点での最高金額を常時公開する形式を採用しますが、官公庁の出品や高額な取引 ( 例えば、不動産の取引 ) の場合は、開札まで非公開の形式を採用する事が有ります。

先ほど、再度応札して競り上げる事が可能と記載しましたが、これを手動で行うのは大変なので、オークションサイト側で最高応札額の更新を電子メールやアプリなどで通知する、もしくは指定した金額まで自動的に再入札する、という機能を用意している事が有ります。


オンライン決済サービス

オンライン決済サービスとして、国際的に有名な PayPal について記載します。

PayPal は為替事務手数料がクレジットカードよりも高価という欠点を有するものの、相手方にクレジットカードや銀行口座の情報を開示する必要がなく、セキュリティ面で優れている事や、購入先によっては住所や名前を記入する手間を簡略化できる場合も有るという、利点も有ります。

購入先が PayPal に対応していない、海外から継続的に購入する訳では無いので PayPal のアカウントを新規作成するほどではない、などの理由で、クレジットカードによる決済を行いたい場合、購入先が信用出来てかつ、所持しているクレジットカードによる決済に対応している場合は、そのまま決済すれば問題ありません。

しかし、購入先がお世辞にも信用出来ない、何らかの事情でクレジットカードを作れない、所持しているクレジットカードでは決済が不可能、などの事情が有る場合は、プリペイド式クレジットカードを用いて決済できないか、検討してみると良いでしょう。

なお、プリペイド式クレジットカードそのものの特徴や注意事項については、当ウェブサイトの支局へ掲載している記事を参照して下さい。

決済時に通貨単位を日本円と米ドルの何れかで選択できる場合、決済で適用される為替相場の状況に依りますが、基本的には海外から購入する時は米ドルで決済とし、クレジットカード会社側で日本円へ換算するように設定した方が、条件次第では有りますが為替事務手数料を安価に出来る傾向です。

PayPal 使用時に米ドルで決済したい場合、対応クレジットカードのみでは有りますが通貨換算オプションという項目の設定により、決済時の通貨単位を日本円から米ドルへ変更出来ます。

参考 - 在庫が希少な物は、実際の店舗も回ろう

在庫が希少な商品について、インターネット上の通信販売では「在庫なし」なのに、実際の店舗では買える場合が有ります。

このような現象が起きる理由は様々ですが、理由の一つとして「再入荷通知をメールで飛ばしている場合、入荷数が数個しかないと直ぐに枯渇してしまい、結果として買おうとした人から苦情が来てしまうので、これを防止する」が有ります。

どうしても欲しいが常に在庫が希少である事が分かっている物の場合、実際の店舗もこまめに巡回するのも一つの方法です。

個人間の取引で部品を発送するような場合、「宅配便に関する 2 〜 3 の事項」を参考に梱包すると、トラブルを未然に防止できるでしょう。


代表的な店舗

以下に、電子部品を店頭で販売している代表的な店舗を記載します。

なお、令和五年 ( 2023 年 ) 3 月時点で営業している店舗を記載している為、後から閉店や廃業した店舗も含まれます。

店舗一覧表
地域 店舗の名称

札幌

仙台

東京 ( 東京都千代田区、秋葉原 ) 

関東その他

愛知 ( 大須 ) 

大阪 ( 日本橋 ) 

福岡 ( 博多市中央区、天神 ) 

電子商取引専門

同じ部品でも販売元により単価が異なるので、慣れて余裕が出てきたら、複数の販売元を比較するとより良い結果を得られます。送料と交通費や時間をそれぞれ比較するのも面白いでしょう。

なお、自宅の近くにどのような店舗が有るのか地図上から調べたい場合、下記の方が構築しているシステムを活用すると、とても便利です。


取扱店舗の制限

Texas Instruments の標準ロジック IC や、Texas Instruments に買収された National Semiconductor の IC ( LM1881N 等 ) は、かつては実際の店舗で簡単に入手出来ましたが、令和元年頃からエンドユーザーを特定できない流通経路による販売が禁止されています。

Texas Instruments の公式ウェブサイトのほか、Digi-Key Electronics や RS Components なら部品単体での販売を行っていますので、そちらで購入するのが良いでしょう。

国内だとマルツが Digi-Key Electronics の正規代理店をしているので、通常より日数が必要なものの、Digi-Key Electronics から直接購入するのはハードルが高いと思うならマルツ経由で購入するのも考えられます。


生産終息

かつて大量に用いられ流通していた部品が、現在では生産終息 ( 生産中止のこと。ディスコンとも呼びます。 ) により流通在庫のみで入手困難になっていたり、それも枯渇して入手不能になっている事が有ります。

互換品が製造されていても部品の特性の問題で置換可能とは限りませんし、置換可能だとしても流通ルートの問題から容易に入手できるとは限りません。
梅沢無線仙台店の令和三年 2 月 12 日の投稿

古い製品の保守などで入手困難な部品をどうにかする必要が有る場合、

  • 別の代替手段を考える ( 例えば、FPGA や CPLD へ置き換える ) 
  • 費用を度外視して、正規代理店などを通して発注して購入
  • 時間を割いて市場で流通している在庫、つまり流通在庫 ( 市中在庫とも呼びます。 ) を探してを購入
  • 中古またはジャンク品から、正常に動作する部品を取り外して再使用

の様な方法の中から選ぶ事になります。


例えば 74 シリーズなどの標準ロジック IC は、現在は個人でも扱いやすいワンチップマイコンや FPGA などが普及した事から、徐々に入手が難しくなっています。国内、国外問わずどのメーカーも生産を縮小したり終息させたりしています。

Texas Instruments は可能な限り生産を続ける方針の様ですが、これも何時入手出来なくなったとしても不思議ではありません。
Texas Instruments
「標準ロジックが買えなくなる日」−半導体メーカーの動向を探る−

仮に新品を入手できなくなったら先述した様に、FPGA や CPLD へ置き換える、流通在庫を漁る、中古やジャンクの基板から正常動作する部品を取り外して再利用する、などの対応が必要になります。


電解コンデンサも状況は同様で、特に小型のラジアルリード形は各メーカー共に生産を終息させつつあります。

基板上のスペースに余裕が有れば、特性が近い別メーカーの品種を選定すれば何とか代用できる事も有りますが、小型品の場合はスペースの問題が発生したり代替できる品種が全滅に近い状態になっている事も有ります。

そのため、電解コンデンサのうち容量がおおよそ 10µF 以下の小型品の場合は、積層セラミックコンデンサやフィルムコンデンサへの置き換えを検討する事も有ると思われますが、単純に別の種類のコンデンサへ置き換える行為は不具合を発生させる懸念が有る為、個別に検討が必要になってきます。

この辺りの参考文献に関する情報は、「FM TOWNS SN のアルミ電解コンデンサを交換する」を参照してください。


偽造品にご注意

一部の電子商取引では、偽造品が流通しているという情報が有ります。特にヤフオクやメルカリ、Amazon、eBay、Aliexpress では少なくないと言われていますので、注意が必要です。部品の購入に慣れてきたら、自分なりに購入先の優先順位を決めると良いでしょう。

偽造品は、現物やそれを撮影した画像を一目見たら直ぐに見抜けるものから、精巧に偽造されていて偽造品に関する知識を持っている人でさえ判別困難なものまで、様々です。

残念ながら、真贋を判断する要点は悪用が懸念されるのでこの場では公開出来ませんが、検索すれば他所の記事がいくつか出てくるので、それを参考にすると良いでしょう。

偽物もただ単純に動かないだけなら気付くので良いですが、それなりに動いても所定の性能を発揮しない ( 例えば温度特性が正規品よりも悪く、室温で有れば問題ないのに、負荷をかけて温度が上昇すると異常が生じる ) 事や、コストを下げる為に有害物質で代用している、最悪の場合は物理的な破裂や火災の危険も有ります。

リスクを理解してトラブルが起きても全て対処できる、端から中身を解析する予定、の様な事情がない限りは、安易に偽造品へ手を出す事は勧められません。

余談ですが、このような偽造品はゲームソフトなどでも存在していて、古典的な「別のディスクまたはカートリッジへ複製して、説明書やインストカードなども偽造した物を掴まされる」から、「パッケージや説明書、カートリッジのケースは本物だが、カートリッジの中身の基板だけ複製してある偽造品」に至るまで様々です。

購入する時は相手側が信頼できるのかも含めて、慎重に調査した方が良いでしょう。


参考文献


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