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EPSON 98 互換機用 MD3551 を PC-9821 で使用する


もくじ

はじめに

今回、キヤノン電子株式会社製 FDD である MD3551 を PC-9821 で使用できるか実験を行いました。実験に使用した本体は PC-9821 Ls12 です。

実験の結果、基本的には使用出来る事が分かりましたが、使用にあたり変換基板の準備が必要だと分かりました。以下に、その内容を記載します。


変換基板

最初に用意するのは変換基板です。変換基板は「PC-9821 に 5.25 型 FDD を接続する」に掲載している「FDD インターフェイス変換基板回路図」を元に図面を一部変更し、「国産電算機のピンアサイン」に掲載している「 FDD 端子のピンアサイン ( 26 ピン端子の場合 その 2 ) 」と同一のピンアサインになるようにします。360/300 信号はどこへも接続しません。


保守点検時の注意点

FDD 本体ですが、MD3551 についてはドライブ番号の設定が必要な程度で、正常な個体であればそれ以外に特別な改造は必要ありませんが、電解コンデンサの液漏れに関する保守点検は必要です。点検するにはいくつかの注意点がありますので、以下に注意点の概要を記載します。

MD3551 保守点検時の注意点
参考写真 説明文

参考写真-1

FDD 裏側。銘板のシールは型番の「MD3551」という表記以外に、「K-63810-02」という表記も有ります。いわゆる P/N と思われます。

参考写真-2

FDD 上側の蓋と、FD を固定する上側の金具を取り外した状態。ヘッドのシールド板は少しの衝撃で外れる場合がある事、また、シールド板自体は大変薄い上に曲げ加工による補強などは行われていない事から、簡単に変形するので、衝撃を与えないよう注意が必要です。

参考写真-3

電解コンデンサは制御基板に 10V47μF が 1 個、16V10μF が 2 個設置されています。今回使用した MD3551 は面実装の電解コンデンサの液漏れが酷く、電解コンデンサを交換しています。 ( 写真は交換後 ) 

参考写真-4

後年に製造された各社の 3.5 インチ FDD では余り見かけませんが、FD を固定する上側の金具には合成樹脂製の筒が取り付けられています ( おそらく、滑りを考慮しての事でしょう ) 。この部品は分解時、外れて紛失しやすいので保管状況に注意を払う必要が有ります。

参考写真-5

FD 挿入口のシャッターに付属するばねですが、FDD を再度組み立てる場合、シャッターに付属するばねの折り曲げてある部分は、FDD 本体の金属枠にある開口部へ引っ掛けるようにして設置します。

参考写真-6

ドライブ番号を切り替えるジャンパは、FDD 本体の FD 挿入口を正面から見たとき、左側面の下部に有り、DS0 と DS1 で切り替え可能です。ジャンパを写真の位置で見た場合、左側が DS0 、右側が DS1 です。


面実装電解コンデンサの撤去方法

電解コンデンサが液漏れしている場合、ハンダゴテを用いる作業の直前に清掃して電解液を極力取り除いてから、ハンダゴテを用いた方が良いでしょう。横着したら当たり前では有りますが、電解液の焦げ付きによる清掃の手間が増えます。例として、面実装の電解コンデンサを撤去する場合の手順の参考例を示します。

  1. ニッパーを使って上部を切断し、撤去する
  2. リード線のハンダ付け部分を除いた上部のうち、太い部分を切断して撤去する
  3. 封口ゴムやベース部分を撤去する
  4. 清掃して、漏れた電解液を極力取り除く
  5. 基板上にハンダ付けされた、リード線の残りの部分をハンダゴテを用いて、撤去する

Density 信号について

EPSON 98 互換機用の FDD の場合、Density 信号をそのまま使用する場合と反転させるあ場合と有りますが、MD3551 に関しては反転する必要は無かったと記憶しています。 ( 少々記憶が怪しいので、追試してくださる方をお待ちしています ) 

なぜこのような違いが有るのか、そしてどの FDD の場合に反転させる必要があるのかの全容は不明ですが、特定の FDD については工作室の記憶様の「エプソン98互換機本体−内蔵FDD対応表」および「エプソン98互換機の内蔵FDDのDensity信号」という記事を参照してください。


参考文献


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