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工具に関する雑記 部品の切断、穴あけ加工編


もくじ

はじめに

この記事は元々、PC-9821 型番の機種で VFO 付 5.25 型 FDD をファイルベイに増設する配線へ使われている端子に関するメモ書きを作ろうと書き始めたものです。

そのような経緯から「電子部品の調達先に関する雑記」におまけとして掲載予定でしたが、ついでにアレもコレも、と書き足していたら記事が長くなりすぎたため、分割して単独の記事にしました。

記事は五回に分けて公開します。


一枚の金属板から筐体を作成する様な場合、金属板から部品を切り出す為に、金属板を必要な寸法で切断する必要が有ります。また、自作基板を筐体へ収容する時の端子部分への穴あけ、もしくはねじ止め用の穴あけが必要な場合、穴あけ加工が必要になります。

切断や穴あけもハンダ付けと同様に、覚えている、全く経験した事がない、経験した筈だが忘れた、など様々だと思われます。

切断や穴あけ加工の作業手順は、次に挙げる一覧表の様になっています。不要な項目は省略して構いません。全て、手作業で加工する事を前提に記載しています。

なお、手作業ではなく CAD などを元に旋盤で加工、もしくは 3D プリンタを使いこなしている様な人は、この記事は読み飛ばして問題ありません。

切断、穴あけ加工の基本的な作業手順
順序 説明文

1

加工したいものを用意したら、罫書 ( 読み方は「けがき」、図面などを元に対象物へ加工位置の目印を刻み付ける作業を、この様に呼ぶ ) の準備として罫書用の塗料を準備します。

2

金属の場合、本格的に加工する場合は罫書用の塗料を塗布してから目印を付けていきますが、簡易的な加工なら塗料をマジックの様なもので代用したり、そもそも何も塗らずに目印を刻み付ける事も可能です。

3

木材やコンクリートの場合、罫書と同じ内容の作業を「墨出し」と呼びます。

かつては言葉通り墨を入れた墨壺と糸を使用して目印を付けましたが、現在はチョークの粉末を用いるチョークラインや、レーザーマーカーなどを用いる事が多いでしょう。これも簡易的な加工なら鉛筆で目印を刻み付ける事も可能です。

4

高精度な加工が必要な場合は、定盤を設置します。そこまで精度を求めないのであれば机上で直接作業して良いでしょう。

加工するものが立体的な場合、あまりに大きい場合は、万力を使って机へ固定して作業する方法も考えられます。

5

加工する位置を決める為に定盤上で寸法を計測します。

ただ単に直線を計測するなら直尺、溝の幅や深さ、厚み、直径ならノギス、角度を正確に求めたいのであれば分度器を使用します。

6

現物合わせで目印を付ければ良い場合はそのまま加工へ進みますが、単純な加工で済まない場合は、ここで一旦加工用の図面を作成します。

7

寸法を計測して加工する位置を求めたら、加工したいものに対して位置を罫書します。

直線を描くなら、金属であれば罫書針、木材なら鉛筆、円を描くならコンパス、円形の穴の中心へ目印を付けるのであればポンチを使用します。

8

加工を開始する前に、少しでも傷が付くと困る場合は、マスキングテープや養生用テープなどを用いて加工面を養生しましょう。

9

マスキングテープを直線に切断する時は、カッティングマットを敷いてから切断用の定規とカッターナイフを用いて切断します。

なお、加工する素材によって適切な道具は変わるので、切断道具の詳細は各自調べましょう。

10

そこまで大きくない円形の穴を開けるだけなら、ポンチで付けた目印とドリルの刃の先端を合わせて、穴を開けます。極小の穴ならドリルではなくピンバイスを使う事も考えられます。

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ドリルだけでは意図した大きさの穴を開けられない場合は、最初にドリルで小さめの穴を開けてから、テーパーリーマーで意図した大きさへ拡げる方法も有るでしょう。

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四角い穴を開けたい場合は、穴を開けたい範囲内へドリルで大雑把に穴を沢山開けたら、穴同士をハンドニブラーで繋げつつ、入隅 ( 角の内側のこと。逆に角の外側は出隅と呼ぶ ) 部分を切り抜きます。

13

何れの加工も、往々にしてバリ ( 加工後に出来る、意図しないトゲ状の出っ張り ) が発生しますので、テーパーリーマーやヤスリ、ルーターで滑らかに仕上げると良いでしょう。

14

最後に養生に使用したテープ類や罫書用の塗料を除去したら、加工は完了です。

部品の切断、穴あけ加工に用いる工具について、詳細を次項に記載します。なお、記載の順番は先述した作業手順の登場順とします。


罫書用の塗料

罫書を行う際に使用する塗料で、罫書インクや青ニススプレーなどとも呼ばれ、色は青色や赤色、白色が多い様です。膜厚が薄く速乾性に優れています。

使い方は、罫書をしたいものの色に合わせて選定 ( 例えば、素材の色が銀色なら青色の塗料、黒色なら白色の塗料 ) し、塗装後に乾燥させたのち、罫書針で塗料を削り取る事で目印を付けます。

注意事項としては、塗料なので適用できる素材が限定されることです。塗料自体の一般的な事項は「筐体を塗装したい ( 調達編 ) 」を参照して下さい。


定盤

計測する時に高精度な平面を提供する為の台です。平板測量における測板と同じような機能を提供する為の板、と言い換える事も出来るでしょう。

定盤は JIS B 7513 にて等級が定められており、0 級、1 級、2 級に分類されていて、0 級の方が高精度です。

材質は、主に鋳鉄 ( ねずみ鋳鉄 ) や石 ( 花崗岩や斑糲岩 ) で作られていて、セラミックやガラス ( その中でも平面度が高いフロートガラス ) も用いられている様です。

余談ですが、フロートガラスはいくつか有るガラス製造方法の一つで、ガラスの原料を融解させてから、融解させた金属 ( 主に錫が使われる ) の上へ浮かべる様にして延展させる事で、最終的に板状のフロートガラスが出来上がります。

注意事項としては、鋳鉄製の定盤は使用前に防錆油を拭き取って使用し、使用後は汚れを落としてから防錆油を塗布する必要が、石製の定盤は使用前に石製定盤用ワックスを拭き取って使用し、使用後は汚れを落としてから石製定盤用ワックスを塗布必要が有る、という事です。


万力

加工する対象物を口金へ挟み込んで、ある程度以上の締結力を加えて仮保持する為の工具です。

万力は大別して手作業用と機械加工用に分類されいますが、この記事では手作業用のうち、最も一般的と考えられる横万力を例に記載します。詳細な分類を知りたい場合は、参考文献を参照して下さい。

横万力は、可動体の摺動部分の断面形状が四角い形状の角胴形 ( JIS B 4620 ) 、丸い形状の丸胴形 ( JIS B 4621 ) に分かれていて、締め付け力は JIS を参照する限り、丸胴形の方が有利です。操作性も丸胴形の方が滑らかと言われている様です。

大きさは JIS によると、75、100、125、150 の四種類が規定されていますが、メーカー標準で JIS 規格外のサイズも存在しますので、加工する対象物に合わせて選定しましょう。

口金は通常、取り外して交換できるので、加工する対象物の硬度に適合する口金へ随時交換すると、加工時の意図しない傷を抑制出来るでしょう。

万力は頑丈そうに見えますが、強い衝撃を与えたり過剰な締め付け力を与えると加工する対象物は勿論のこと、万力自体を破損する事が有りますので、注意して下さい。


直尺

真っ直ぐな定規や物差しの事を直尺と呼びます。定規と物差しは混同されがちですが、一般に定規は線を描く時の道具、物差しは長さを計測する為の道具とされ、物差しで線を描く行為は物差し自体の歪みの原因となるので避けた方が良い、とされています。

物差しは JIS B 7516 にて等級が定められており、1 級、2 級に分類されていて、1 級の方が高精度です。目盛の長さは JIS 準拠だと、150mm から 2,000mm までです。

材質は主にアルミニウムやステンレス、合成樹脂、竹などの狂いが少ない素材が用いられています。

ステンレス製の場合、表面仕上げの違いでシルバー仕上とステン仕上に分かれており、一般に艶消しのシルバー仕上の方が反射光が眼に入らないので見やすいでしょう。合成樹脂製の場合、透明の物ならば直尺の直下も確かめながら計測できます。


ノギス

ノギスは、対象物の寸法 ( 長さは勿論、厚みや幅なども含む ) を正確に計測する為に使用します。JIS B 7507 の定義によると「本尺上の測定目盛に沿って動くスライダの移動量を基準として、内側又は外側の寸法量評価を与える測定器」とあります。

ノギスは一般的に、本尺とスライダを中心に、外側用ジョウと内側用ジョウ、デプスバー、止めねじ、微動装置、目盛などで構成しますが、製品によっては、省略されている部品も有ります。なお、内側用ジョウは「くちばし」と呼ばれる事も少なくありません。

対象物の基本的な計測方法は、次の通りです。

ノギスの基本的な作業手順
順序 説明文

1

長さや厚み、外径は、外側用ジョウの間に挟んで計測します。

2

溝幅、内径は、内側用ジョウを計測部分へ入れてから開いて計測します。

3

穴や溝の深さは、デプスバーを差し込む様にして計測します。

4

対象物とノギスは、ジョウやデプスバーの適切な位置へ直角に軽く当てます。

5

バーニヤ目盛を読み取る時は、正面から垂直に見て数値を読みます。

6

デジタル目盛を使用する時は、最初に原点の設定を怠っては行けません。

ジョウへ過剰な力を加えてしまうと、測定時に本尺とスライダの間にある隙間に由来する誤差が大きくなります。また、徐々にノギス自体が徐々に歪む可能性も有るので、過剰な力を加えぬように扱いましょう。

特殊用途のノギスでは、ジョウの形状を穴や溝同士のピッチの計測、深い溝の計測などが可能な機種も有る様です。

ノギスの種類は M 形ノギスと CM 形ノギスに分かれていて、M 形は外側用ジョウと独立した内側用ジョウを持つ構造、CM 形は外側用ジョウと内側用ジョウが兼用のものです。

目盛の表示方式は、バーニヤ目盛またはダイヤル目盛を備えたアナログ表示、またはデジタル表示の何れかです。

バーニヤ目盛は本尺に表示されている目盛とスライダに表示されている目盛 ( バーニヤ目盛 ) を組み合わせて数値を読み取る構造で、単純な構造で問題も発生しづらく電源も不要な点が利点ですが、慣れないと扱い辛い事や、読取誤差が生じやすい欠点を有します。

読取誤差の詳細については、別記事のアナログテスターの項目を参照して下さい。バーニヤ目盛の読み取り方の詳細は参考文献を提示します。

ダイヤル目盛はバーニヤ目盛の扱い辛さを改善したもので、数値を読み取りやすい事が利点と言えます。一方で読取誤差の問題は残されている事、本尺にダイヤル計を駆動する為のラック・アンド・ピニオン機構 ( 要は機械的なギヤ ) が組み込まれている為、余計な塵埃や水、油を除去する保守管理の頻度をバーニヤ目盛よりも上げる必要があるなどの欠点を有します。

デジタル目盛は読取誤差の問題を解消したものです。但し、定期的に電池交換が必要な事、ダイヤル目盛同様に保守管理の頻度を上げる必要が有る事、費用的に高価な傾向が有る欠点を有します。

ノギスを選定する時は種類と目盛の表示方式、微動装置などの有無を決める事も必要ですが、最少読取値もどの程度の性能が必要か、検討する必要が有ります。

JIS B 7507 を参照すると、0.1mm、0.05mm、0.02mm の記載が有り、数値が小さくなるほど読み取れる寸法も精密になりますが、そのぶん扱いにくくなる可能性が有ります。また、メーカー自体が保証する性能は 0.2mm が限度の様です。

ノギスは一般的にステンレス製が多いと思われますが、そこまで精度が高くなくてよい、対象物に傷をつけない事が重要、という場合は、合成樹脂製のノギスを選定した方が使い勝手が良いと考えられます。


分度器

角度を測定する為の道具で、罫書の場合はプロトラクターや勾配定規の様なものを使用すると、作業性が良いでしょう。

プロトラクターは描く線の長さに合わせて、竿全長を選ぶこと、製品により竿の本数が異なる ( 1 本仕様と 2 本仕様が有る ) ので、目的により選ぶとより便利です。


罫書針

直線を引くための罫書針は、先端が直線の針状で反対側の先端が直角に曲がっている K 型、曲がるのではなくヘラ状になっている N 型、ペンシル型などが有り、ペンシル型は針先をボールペンと同じ要領で収納可能な製品や、先端のチップを目的別、もしくは摩耗した時に交換可能な製品も存在します。

罫書針で直線を引く際は、定規を使用して起点から終点まで一気に引き切ると良いでしょう。途中で定規を動かしたり線を何度も引き直すと加工精度に影響を及ぼしてしまいます。

ポンチは、いきなり使うのではなく罫書針の直線、もしくはコンパスの円による補助線を引いてから使用した方が、精度を高めやすくなります。

余談ですが、ポンチについてハンマーを使うタイプの場合、横着して手元にある別の工具の柄で叩くのは避けましょう。横着したくなる気持ちは分かりますが、工具を目的外の行為 ( 叩く行為 ) に用いると、壊れてしまったり精度が低下してしまいます。


マスキングテープ、養生用テープ

必要な時だけ仮固定して、粘着剤を残さずに剥がせる粘着テープのことで、加工時に汚れたり傷が付いては困る部分へ覆う様に貼り付ける ( これを養生と呼ぶ ) 目的で使用します。テープの素材は主に紙製、ポリエチレンや合成繊維です。

多くのテープは手で簡単にちぎる事が出来る、貼り付けやすく剥がしやすい、などの特徴から作業性に優れています。

大抵は剥がし忘れ防止で目立つ色になっていますが、対象物との組み合わせによっては見えにくくなる可能性が有るので、色の組み合わせには注意しましょう。

そのほか、テープの幅や粘着剤の強さ、耐水性や耐候性などの特徴が製品ごとに異なるので、目的に合わせて選定して下さい。


カッターナイフ

主に紙や布、ビニール、薄いベニヤ板などを切断する為の刃先を交換可能な刃物です。一般的には右利きが前提になっている製品が多いですが、左利き用の製品も有ります。

カッターナイフの刃の寸法は、オルファ株式会社の製品で採用されている寸法が業界標準 ( デファクトスタンダード ) となっている様です。一般的に見かける寸法は次の通りです。

  • 特大刃 ( 幅 25mm ) 
  • 大型刃 ( 幅 18mm ) 
  • 中型刃 ( 幅 12.5mm ) 
  • 小型刃 ( 幅 9mm ) 

刃の板厚は製造メーカーにより多少異なります。メーカーによっては、刃先の角度を通常よりも鋭角にして切れ味を鋭くした黒刃、通常よりも板厚を増した M 型などを製造しています。なお黒刃は、切れ味が鋭い代わりに耐久性が劣るとされています。

刃は基本的に鋼製ですが、中には磁性や錆の防止でセラミック製の製品も存在します。

刃と本体は、幅が適合すれば組み合わせの制限はそこまで有りませんが、中には特定の本体でないと使用できない刃も有る ( 例えば、ロング刃 ) ので、特にプロ向けの製品を購入する時は注意が必要です。

刃の種類毎に得意な分野が異なり、カッターナイフとしては厚物の素材を切断したい時は特大刃、段ボールから紙の切断に至るまで万能的に使うなら大型刃、細かい作業が中心なら小型刃、その中間的な性能が必要な場合は中型刃が向いています。

カッターナイフの本体には刃先を動かない様に固定するスライダーが付いていますが、バネが仕込まれていて親指で簡単に動かせる製品のほかに、手回しねじと同じ要領で固定できる製品、スライダーの部品が二つに分割されており、ロックと解除を選択できる製品が存在します。

カッターナイフを使用する時は、刃を本体から極力延ばさずにして使用します。そうしないと、刃先が撓んで使い辛かったり、何かの拍子に刃先が折れて自分へ向かって飛んでしまう可能性があり、大変危険です。

カッターナイフが滑っても問題ない様に、カッターナイフの進行方向には手を置かない様にする事は勿論のこと、可能であれば耐切創性が有って滑りにくい手袋を着用しましょう。

切れ味が落ちてきた時は、躊躇せずに刃を折って新しい部分で切断する様にした方が、切断面が綺麗に仕上がるうえ、必要以上に力を掛けずに済むので作業性が良くなります。

精密な作業を行いたい時のデザインナイフ、アクリル板などを切断する時のプラスチックカッターなど、ある目的に特化した製品も存在するので、探してみるのも良いでしょう。


ドリル、ピンバイス

主に穴あけ加工を行う為の工具です。この記事では回転する切削ビットで穴あけ加工を行うドリルを取り上げます。

部品の構成としては、手動もしくは電動で回転力を与えるドリル、ドリルが回転させる事で素材への穴あけや切削を行うドリルビットに大別されます。

ドリルの先端にはドリルビットへ回転力を伝えるチャック、ドリルビットの根元側にはドリルから回転力を受け取る為のシャンクが有り、チャック部分へシャンク部分を差し込んで固定する事で回転力を伝えます。

ドリルビットを選定する時の主なポイントは次の通りです。

ドリルビットの基本的な選定手順
項目 説明文

素材

まず最初に、穴あけ加工する素材を確かめます。ドリルビットは製品により使用できる素材が異なります。

柔らかい素材向けに作られたドリルビットを固い素材へ用いる事は出来ません。その逆は不可能では有りませんが、一般に仕上がりが荒くなるとされています。

加工形状

次に、穴の直径や断面形状、素材の厚さを確かめます。

直径を確かめるのは当然のことですが、断面形状は例えば面取りが必要な場合、通常であれば穴あけ後にテーパリーマーやヤスリで加工する事になります。

しかし、仕上がりにそこまでの精度を求めない場合は段付きのドリルビットを用いて穴あけと面取りを一度に行う方法も有ります。

素材が厚いほど、ドリルビットそのものやドリルビットに刻まれている刃の長さが重要になります。

シャンク
形状

ドリルのチャックには、主に昔ながらのキーレスチャックのほかに、六角軸チャックがあります。

キーレスチャックの場合はサイズさえ合えばドリルビットのシャンク形状が丸形でも六角型でも取付可能ですが、六角軸の場合は六角型のドリルビットしか取付できません。

その他、工具によっては上記以外の形状を採用している事もあるので、どの様なドリルビットなら取付可能か、ドリルの取扱説明書をよく確認する必要が有ります。

穴の直径がおおよそ1mm以下の精密な穴あけ加工を行う場合は、ピンバイスを用いると良いでしょう。


テーパーリーマー

ドリルなどで開けた穴を目的の寸法へ拡げたり、形状を整えて仕上げる為の工具です。

先端形状は円錐状になっていて、穴に対して垂直に差し込んだのち、素材へ押し付ける様に回転させる事で加工します。


ヤスリ

ヤスリは大別して金属製の棒ヤスリ、紙で出来た研磨紙や布で出来た研磨布に分かれていて、研磨紙はいわゆる紙ヤスリと呼ばれています。

金属製の棒ヤスリには断面形状がいくつかの種類に分かれていて、平形や丸形、半円形などがあります。

研磨紙は、空研ぎ ( 研磨紙のみで研ぐ方法 ) 仕様と水研ぎ ( 耐水の研磨紙と水で研ぐ方法 ) 仕様があり、水研ぎの方が目詰まりを起こしにくい、塗膜の艶出しを狙う時に美しく仕上げやすい、等の利点が有ります。

ヤスリには「目」と呼ばれる突起があり、これが素材を削る役割を果たします。目には粗さが有り、棒ヤスリの場合は荒目、中目、細目、油目の順に目が細かく、研磨紙や研磨布には番手と呼ばれる数字が大きくなるほど、目が細かく ( 一度に削れる量が少なく ) なります。

ヤスリは目が粗いものから徐々に細かいものを使うのが基本的な使い方です。合成樹脂を研磨紙で削る例に挙げると、合成樹脂用のヤスリ ( ヤスリもリルと同じように種類により使用できる素材が異なるので、素材に合わせて選定する ) のうち、番手が 400 番以下のもので荒削り、600 番程度で調整、1000 番で仕上げを行うのが目安です。

1000 番超の研磨紙を用いた場合、塗装面の艶が出やすくなる代わりにパテや塗料の食いつきが悪くなって剥がれやすくなるおそれが有ります。

細かい切削や大きく削り込む場合は棒ヤスリ、表面を平坦に仕上げる様な場合は研磨紙の方が使用しやすいでしょう。


ハンドニブラー

薄い鉄板や合成樹脂製の板などを歪ませることなく、刃を素材へ当ててながらハンドルを握る、離す動作を繰り返す事で、直線や曲線、くり抜きなど自由自在な形状へ切断できる工具がニブラーで、このうち、手動式のものをハンドニブラーと呼びます。

鉄板の中央に丸い穴を開ける時はドリルで加工出来ますが、角が有る穴はドリルでは加工出来ません。ハンドニブラーなら、ドリルなどで刃先が入る下穴を開けてから刃先をセットすれば、内側から切断してくり抜く加工が行えます。

ドリルと同じように、製品により使用できる素材や切断できる厚さが異なります。

ハンドニブラーは、刃とハンドルをテコの原理で動かします。その為、一般的には扱いやすさを優先する時はハンドニブラー本体の全長が短いもの、切断力を優先する時は全長が長いものの方が有利だと言われています。

刃先は製品により幅が異なりますが、細かい作業を行うのであれば細い刃の方が作業しやすいでしょう。なお、刃先は交換できる製品の方が後々便利です。


参考文献


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