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ドリームキャストのシリアルポートから LAN に接続する


もくじ

はじめに

生産が終わってもう 10 年以上経ち、修理も出来なくなったドリームキャストですが、今でも熱心なユーザーがいらっしゃいます。その中には、過去にダイアルアップ接続していた方もいるでしょう。接続する度に大変苦労された事と思います。

しかしそれも過去の語り草、今ではダイアルアップ接続機能どころか、ネットワーク機能自体が無用の長物と化してしまっています。

ドリームキャスト現役当時、ブラウザとしてドリームパスポートが標準で添付されていましたが、このブラウザでは専用の HTML タグが仕込まれているウェブサイトへアクセスすると、ビジュアルメモリやぷるぷるぱっくが応答する仕組みが有りました。

もう一度ビジュアルメモリなどが応答する姿を見てみたいが、その為にダイアルアップはしたくないし何なら既に固定電話なんて解約している、という方の為に、どうにかして LAN に接続する方法を紹介する、というのがこの記事の目的です。


接続方法

ブロードバンドアダプタやそのクローンがあれば、そんなのはすぐに解決できるのですが、いかんせん、イニシャルコストがかかりすぎます。ブロードバンドアダプタを経由して通信できるブラウザの確保も今となっては困難を極めます。

ドリームキャスト現役当時は、Windows の着信接続機能と TA の内戦通話機能を使った方法や、CR2000 のような擬似交換機を使って LAN に繋げるという方法が紹介されていましたが、内蔵モデムを使うため速度面で不利です。

今回は、速度面で不利な内蔵モデムは使わずに、シリアルポートと RAS サーバを用いて接続します。

この方法を使えば、ドリームキャスト本体にあるシリアルポートの関係上ブラウザがドリームパスポート 3 以降に限定されてしまうものの、それでもブロードバンドアダプタほど入手困難ではない一方、内蔵モデムよりは高速に通信させる事が可能です。


ケーブル製作

ケーブルの回路図は「ドリームキャスト吸出し計画工事設計図」の通りです。

問題があって、ドリームキャスト側で定義されていない DCD 信号を生成しなくてはいけない事です。DCD 信号とは機器を接続した事を知らせる信号で、DCD 信号がないと接続した事を認識できない TA やモデムがあるようです。

もしもそういう TA やモデムがあったら、機器から出ているDTR を繋げば良いようです。

レベルコンバータですが、MAX232 でも、その互換品でも良いでしょう。ただ、どうせなら ADM3202 のような高速通信対応のものにしておくと後々便利でしょう。なぜなら、ドリームパスポート 3 では 460kbps 迄対応しているからです。 ( かの有名な bero 氏によれば、ハードの上限は 1.5Mbps らしいです。 ) もっとも、RAS サーバ側が遅ければ意味がありません。


RAS サーバ

次にドリームキャストと RAS サーバをつなぐ訳ですが、PC を RAS サーバにするのでは面白くありません。

ある時、ヤマハ株式会社の RT シリーズには擬似 LAN 機能という、シリアルポートを仮想的に LAN のように扱う機能がある事を知りました。ヒントが記載されていないかとヤマハ株式会社が公開している取扱説明書を調べると、あっさりと説明を発見。これで LAN に繋げる事が出来ます。

都合よく RTA50i が入手できたので、これを使ってみます。取扱説明書は公式ウェブサイトで公開されていること、設定も ブラウザ かtelnet から出来るので、本体だけの入手でも大丈夫でしょう。

まずは RTA50i の設定をしていきます。基本的な設定は取扱説明書を参照して頂くとして、今回の計画に直接関係する設定情報のみ記載していきます。

次の文を、ブラウザでログインして出てくるトップページの下にある「内部情報」というところに、テキストで設定するところがあるのでそこに以下の文を貼り付けてください。当然の事ながら、IP アドレス等は自分の環境に合わせて書き直す必要が有ります。

RTA50i の「内部情報」欄の設定

ip lan address 192.168.1.2/24

ip lan secondary address 192.168.0.1/24

ip lan proxyarp on

ip route default gateway 192.168.1.1

dns server 192.168.1.1

dhcp service server

dhcp scope 1 192.168.1.2-192.168.1.3/24

analog supplementary-service pseudo call-waiting

設定を行う時、ユーザー名を必ず設定してください。そうしないと、ドリームパスポート 3 で設定が行えません。


ドリームキャストの設定

次はドリームキャスト本体の設定に移ります。過去に isao.net へユーザ登録していて登録情報を消去していない場合は、にがHP on PS2Linux DASH様にて公開されている「ドリキャスに外付けモデムを接続する」という記事を参考にして頂きながら、そのまま下記の設定へ移ってください。

もしもユーザー登録の情報を消去している、そもそもしたことがない場合は、「ドリームパスポートにおけるネットワーク登録誤魔化し方法」にユーザー登録を誤魔化す方法を掲載しているので、そちらを参照してください。

ドリームキャスト本体の設定
順序 説明文

1

ドリームパスポート 3 の設定の中の「むずかしい設定」で、シリアルポートを使えるようにします。速度は RTA50i の関係で 230kbps までです。

2

プロバイダーは「ユーザー任意のプロバイダー」を選びます。

3

AP の設定になったら、「****」を入力します。

4

ログイン ID の設定では、RTA50i の「内部情報」欄の設定と同じユーザ名を入力します。

5

DNS サーバは、RTA50i の「内部情報」欄の設定と同じアドレスを入力します。先述した通りに設定しているなら、192.168.1.1 となります。

6

メール関係は、ドリームフライヤーやゲームに内蔵されているメーラーを動かしたいという理由でもなければ、設定せずに飛ばして問題ありません。

7

最後に設定を保存すれば完了の筈です。


おわりに

この記事の初版を公開した当時、「製造が終わって 10 年以上経つドリームキャストで、こんな面倒な事をして大喜びしながらブラウジングしたのは、執筆者以外に居るのでしょうか ? 」などと記載していました。

流石にもうドリームキャストのネットワーク機能を活用する事などないだろう、と考えていたからです。

ところが後日、この記事を保守している最中に海外の有志が Raspberry Pi を用いて LAN へ接続する為のものを作ったらしい、という事を把握しました。執筆者は詳細を知らない為、やってみたい方は参考文献へ挙げた実際に試した方の記事を参照してみて下さい。


参考文献


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