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PC-9821 に PC/AT 互換機用 FDD を接続する ( 実施編 )
複数の FDD をテストした結果、下表に示す図面のように改造することにより、PC-9821 Ls12 で動作させることができました。
下表では、改造地点の概要を記載したプロット図と参考写真を FDD ごとに整理して示します。図面で改造内容の概要を確認してから、参考写真で改造前後の違いを観察してみて下さい。図面は細かく書きすぎても生産ロットの違いなどに対応しにくくなるだけですので、敢えてポイントとなる項目のみ記載しています。
下表で示す資料は、全て PC-9800 シリーズを前提として作成していますが、他の機種に応用する事も出来ます。
例えば、MSX シリーズで 34 ピンのインターフェースを持つ機種の場合、Ready 信号を出力可能にする改造は図示通りに行います。Density ( Mode Select ) 信号の入換は省略できます。その代わり、FDD 動作モードの 2DD モードへの固定、Drive Select と Motor ON 信号に関する改造も追加で行う必要があるようです。
詳しくはにがHP on PS2Linux DASH 様の「FS-FD1Aのドライブ換装」という記事をご覧ください。 ( この記事の執筆者は MSX を所有していない為、検証できていません。 )
下表掲載の全ての図面に共通する、注意事項を示します。
共通の注意事項の一覧
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- 34 ピンのインターフェースを持つ FDD では、一部の例外を除き、FDD の 2 番ピンへ入力する 360/300 信号は 74HC14 などを用いて信号を反転させなくてはいけません。
- 一般的な 3.5 型 FDD では、360/300 信号の反転が不要な FDD と必要な FDD があるので、図面の体裁の統一性を考慮して特記事項へ 74HC14 に関する事項を記載しています。一方、薄型 FDD では 360/300 信号を基本的に反転させる必要があるので、図面に 74HC14 を記載しています。
- PC-9821Xa7 以降のデスクトップ機と FDD をフラットケーブルで接続する際は、いわゆる「反転ケーブル」や「反転コネクタ」に関連する改造も、併せて行う必要があります。具体的には、端子が同一方向に圧着されているフラットケーブルへ交換するか、既設のフラットケーブルと改造したFDDの間に端子方向の違いを吸収する変換基板の挿入が必要です。
- Ready 信号は、正規の Ready 信号を活用する場合と Ready もどき信号で代用する場合の二種類が有ります。このうち Ready もどき信号を活用する場合、簡易的に配線を繋ぐだけだと何らかの異常を生じる可能性が有ります。対策方法がにがHP on PS2Linux DASH 様の「MSX FDD READY 信号の考察と検証」に掲載されていますので、そちらをご覧ください。
- 図面では Disk Change 信号を 33 番ピンへ出力するように図示していますが、概要編でも記載した通り実際には使われていないと思われる事から、参考写真で掲載してる FDD では改造を省略しています。
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次に FDD の改造図面および参考写真と、改造後の動作試験の結果を記載した一覧表を示します。図面や参考写真を参照する際は、一覧表の末尾にある特記事項も必ず同時に参照してください。
FDD 改造結果一覧表 |
FDD 型番 ※1 |
図面 |
参考写真 |
PC-9821 上で 使用できる フォーマット |
備考 |
改修前 |
改修後 |
2HD (1.44) ※2 |
2HD (1.23) ※3 |
2DD |
FD1231T (FDN303) [6pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
OK |
※4 ※5 ※6 |
FD1231M (FDN303) [6pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
OK |
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MPF920 (BH9558KV) [35pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※8 |
MPF920-E (CXA8061Q) [42pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
※15 |
※7 ※9 |
D353M3D (NCL039) [35pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
※16 |
※7 ※10 |
D353-T5 (NCL032) [32pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
YD-702D -6537D-A (BU6108K) [14pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
YD-702D -6638D (BH9522KS2) [19pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
|
※7 |
YD-702D -6639D (BH9522KS2) [19pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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この FDD については、ジャンパを改修する必要がある。ジャンパの詳細については、別図面 ( ジャンパ設定表 ( Y-E DATA-6639D ) ) を参照する事。 参考写真 ( 改修前、改修後 ) |
JU-256A 216P (FQL02030B4) |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
この FDD は改造の為に、制御基板のほか、ヘッドのステッピングモータ用の FPC、FFC ケーブルの取外し及び再取付も同時に行う必要が有る。
制御基板を一度取り外すと、各種センサーの位置調整をマイクロメートル単位で行う必要が有る為、この FDD の参考図面は掲載しているものの、改造は極力避ける事を推奨する。
なお、Disk Change 信号と Ready 信号の切替のみ行う場合は、制御基板を外さずに改造する方法がある。具体的には、ヘッドを最内周側へ移動させたのち、FDD 内部のヘッドと筐体の隙間から切替に関わる「R45」「R46」を改造する。この方法ならば、各種センサーの位置ズレを防止できる。
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JU-256A 637PC (DN8655FA) [28pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※11 |
JU-257A 137P (BH9571KV) [24pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
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※7 ※17 |
FD-235HG -A304-U5 (TB6048) [31pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※12 |
FD-235HG -C235-U (BH9521KS2) [26pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※13 |
FD-235HG -6360-U (BH9503GKS2) [10pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
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※7 |
この FDD については、ジャンパを改修する必要がある。ジャンパの詳細については、別図面 ( ジャンパ設定表 ( TEAC 3 列形 ) ) を参照する事。 参考写真 ( 改修前、改修後 ) |
FD-235HG -7304-U5 (TB6022AF) [10pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
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※7 |
FD-235HF -7304-U5 (BH9506GKS2) [10pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※19 |
Z1D (BH9547KV) [4pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
Z1DA-89A (61828) [4pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
MF-355F -3490UC (U262P128) [48pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
OSD-FIL (61838A) [4pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
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※7 |
TFD-310 (DN8862FAQ) [19pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
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※7 |
MPF820 (BH9556KV) [15pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
D353F3 (NCL053) |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 |
YD-702J -6037J (BH9522KS2) [19pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※18 |
FD-05HG -5708-U (NN8863FAW) [18pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
未検証 |
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※7 ※14 |
FD3238T (FDN305) [6pin] |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
未検証 |
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※7 |
MF355H -325MS (U262P149) |
DXF 形式 |
PDF 形式 |
全体 |
部分 詳細 |
全体 |
部分 詳細 |
OK |
OK |
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※7 ※20 |
- ※1
丸括弧内の文字列は制御 IC の型番、角括弧内の文字列は制御 IC の Ready 信号または Ready もどき信号を出力しているピンの番号を示す。
- ※2
ディスクのフォーマット形式が、2HD。
- ※3
ディスクのフォーマット形式が、2HD。
- ※4
アクセスランプが点灯しない場合、HDR ジャンパをショートすると FDD のアクセスランプが点灯する。
- ※5
図面中の「FDN30x の 26 番ピンと 42 番ピンが接続されている」という情報は、Crusher-K 様より頂いた。
- ※6
FD1231H も同様な改造で使用可能。
- ※7
Density ピンに 360/300 信号を入力する時は、74HC14 などを用いて信号を反転すること。 ( 反転回路は、参考写真には写っていない場合がある。 )
- ※8
YD-702D-6238D も同様な改造で使用可能と思われる。
- ※9
MPF920-F と MPF920-L も同様な改造で使用可能と思われる。
- ※10
D359M3D も同様な改造で使用可能と思われる。ただし制御基板のパターンが異なる為、参考写真を元に信号取出し場所を精査する必要有り。
- ※11
JU-257A607PC も同様な改造で使用可能。ただし、「R71」をショートする作業が追加で必要になる。また、JU-256A347P についても同様な改造で使用可能と思われる。
- ※12
FD-235HG-B380-U も同様な改造で使用可能と思われる。
- ※13
FD-235HG-C122-U5、FD-235HG-C635-U も同様な改造で使用可能と思われる。
- ※14
FD-05HG-8745-U も同様な改造で使用可能と思われる。
- ※15
不安定ながら、2DD も読み書き可能 ( フォーマットが可能なのかは不明 ) 。
- ※16
2DD も読み書き可能 ( フォーマットが可能なのかは不明 ) 。
- ※17
JU-256A048PC も同様な改造で使用可能と思われる。ただし制御基板のパターンが異なる為、参考写真を元に信号取出し場所を精査する必要有り。
- ※18
具体的な原因は不明だが、何らかの理由で改造しても正常に動作しない個体が有る事を確認している。
- ※19
FD-235HF-7291-U5 も同様な改造で使用可能と思われる。
- ※20
MF355H-348MN も同様な改造で使用可能と思われる。ただし、制御基板を FDD の筐体に固定したまま 13 番ピンを切断して 360/300 信号を反転して入力する改造は、制御基板に設置されている 26 ピン端子の取外し、再取付を行う必要があり改造の難易度が高い。そのため、FDD とは別に変換用基板を用意した方が良い。
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上記一覧表に記載した FD3238T ですが、制御 IC として FD1231T などと同様の FDN30x 系列を搭載しています。FD1231M と同様な改造を施工すれば 2DD も使用可能と予想していましたが、実際には 2DD は使用できませんでした。
FD3238T に FD1231M と同様な改造を施したうえで、FD3238T を PC-9821 Ls12 に接続して FD にアクセスすると、ディスクの存在は認識するものの「フォーマットされていない」と表示して停止します。その後、フォーマットしようとしても失敗します。
さらに詳しく調べると、改造するとしても 360/300 信号を反転して入力する事が限度であることが分かり、2DD は使用不可という結論になりました。
原因は不明ですが、ヘッド部の制御に異常が生じているものと思われます。原因が特定できれば、PC-9821 シリーズでも 2DD を使うことができそうです。
DF354N178F は Ready 信号を出力できるものの、何故か PC-9821 Ls12 ではうまく動きませんでした。参考で、Ready 信号出力地点を掲載しておきます。
DF354N178F 参考写真
基板全体
Ready 信号出力地点
参考文献
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