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This web site is only compatible with Japanese text. SIMM ID について
はじめにいまさら SIMM の話題です。SIMM は 80 年代中頃から 90 年代頃にかけて使われたメモリモジュールで、ピン数の違い、Fast Page ( FP ) とExtended Data Out ( EDO ) の違い、パリティや ECC の有無など、多種多様な仕様が存在しています。 中には、JEDEC 仕様 72pin SIMM そっくりだけど特定のサーバーでしか使えない専用品や、PC-9801 で使われる PC-9801-54 ( 通称 54SIMM ) や、PC-9801-61 ( 通称 61SIMM ) のようなモジュールまで存在しています。 このほか、JEDEC 仕様 72pin SIMM または、ほぼ同等仕様の SIMM でも、SIMM ID の設定が必須である場合が有ります。
SIMM ID とはSIMM ID とは、SIMM の 67pin から 70pin にて GND と接続するか否かの組み合わせにより SIMM のメモリ容量などを本体へ伝える仕組みで、SIMM の右端に 4 個並んでいるチップ抵抗などが目印です ( チップ抵抗の配置が異なる、ハンダによるブリッジで設定、基板上で直接結線などのケースも有ります ) 。 PC/AT 互換機では未設定でも基本的に SIMM を認識する為、稀にチップ抵抗を省略しているものも有りますが、TOWNS や EPSON の PC-98 互換機 ( いわゆる国民機 ) 、IBM の PS/2 のように設定していないと SIMM の存在そのものを認識しない機種も有ります。 この SIMM ID は JEDEC 仕様ではない独自規格のものも存在しているようで、少なくとも TOWNS 仕様と JEDEC 仕様の SIMM ID には違いがある事が分かっています。EPSON の PC-98 互換機や IBM の PS/2 も独自仕様である、という情報がありますから、SIMM は使う前に SIMM ID も確認しておいた方が良いでしょう。 FM TOWNS の SIMMTOWNS で使用できる SIMM は、JEDEC 仕様 72pin SIMM に準じた仕様の SIMM で、動作電圧 5V、パリティ無 ( パリティ有も使えるが、使う意味はない ) 、Fast Page かつ、TOWNS で認識できる SIMM ID が設定されている事が条件です。64Mbit の DRAM を搭載した SIMM も使えるとは思いますが、本来の 1/4 の容量しか使えないと思います。 以下に TOWNS で SIMM を使用する際の手順を示しますので、「拾った SIMM の容量を知りたい」「SIMM ID がないから、改造を施して TOWNS で使うんだ」と言う方は、参考にして頂ければ幸いです。 なお、SIMM は上記のとおり JEDEC 仕様以外の SIMM も有ります。SIMM を不用意に TOWNS 本体へ挿して電源を入れると燃えてしまい「なんなの ? 」と呟きつつ不憫な思いをする恐れがあるので、入手した SIMM の素性が分からない場合は、電源周りの結線も事前に確認しましょう。61SIMM 専用機種の親亀に JEDEC 仕様のモジュールを突っ込んで電源入れたらモジュールが燃えた、という言い伝えも残ってますので・・・ SIMM の入手SIMM を新たに入手する際、上記に挙げた仕様に適合した物でないと TOWNS で使用できませんが、現在、純正で TOWNS に対応している SIMM を探し出す事はかなり困難である為、JEDEC 仕様の SIMM を転用する事が一般的です。 JEDEC 仕様の SIMM をインターネットオークションや店頭などで見つけた場合、仕様が明示されていれば良いですが、不明である場合も少なくありません。このような時はエマティなリサイクル様の「研究発表会」内にある「SIMM容量の簡易判別方法」のページを参照し現物と比較する事で、仕様を予測する事ができます。また次の一覧表も合わせて比較する事で、より予測の精度を高める事が出来ます。
「SIMM容量の簡易判別方法」のページと上記の一覧表を使って比較した際、稀に SIMM ID と DRAM の仕様が一致しない場合があります。 一致しない場合は、どのような食い違いがあるのか ? が重要で、単純に SIMM ID 上でアクセススピードを遅く設定しているだけであれば、TOWNS で使用する限り大きな問題ではありませんが、それ以外の場合は注意が必要です。 例えば、見た目では SIMM ID の設定よりも多く DRAM が載っているように見える場合、パリティや ECC の有無以外に、一部に不良が含まれる DRAM を検査して不良を回避しながら使っている関係で、DRAM が余計に載っている場合もあります。 このような場合、SIMM ID で元よりも大きな容量を設定する行為は意味がないだけではなく、本体の動作不良を招く可能性が有りますので、注意しましょう。 FM TOWNS で使用できるか確認SIMM を入手したら SIMM ID を確認して、TOWNS で使用できるか確認する必要があります。TOWNS 仕様の SIMM ID を次に示します。
TOWNS の場合、いわゆる灰 TOWNS や白 TOWNS のうち初期の機種では、上記に示した TOWNS 用の SIMM ID が設定されている SIMM でないと認識できません。 しかし、白 TOWNS のうち EA 前後の機種を境に、マザーボード上のスイッチ設定を変更する事で TOWNS 仕様と JEDEC 仕様の SIMM を切り替えて使用する事が可能だそうで、実際に JEDEC 仕様の SIMM で運用中との証言 ( wildcat さんの 2019 年 8 月 21 日の投稿 ) も有ります。 ( ただし EA 以降でも、SN の様にそれらしきスイッチが見当たらない機種も有ります ) いわゆる灰 TOWNS や白 TOWNS のうち初期の機種に限定して考えた場合、一覧表同士を見比べると、1MB と 2MB の 80ns 、16MB と 32MB の 60ns の SIMM については未改造のまま使用出来るものの、それ以外の SIMM については改造が必要な事が分かります。 ですから、自分で SIMM を改造したくない場合は、上記 4 種類のどれかに適合するものを入手すると良いでしょう。どうしても手に入らないのであれば、一覧表に沿って改造する必要があります。 ただし、稀に改造しても容量を正常に認識しない SIMM もあります。 例えば、日電製の SIMM で基板に「G8QBN」の P/N が記載されているもので、DRAM に「TC514800AJ」や「MCM5L4800AJ」を用いているものは、正しい容量が 2MB ( 524,288 word × 8 bit の DRAM を 4 個搭載 ) にも関わらず、SIMM ID が未定義もしくは特殊な設定となっている事、改造して SIMM ID を設定しても正常認識できず、結局 1MB しか認識させる事が出来ません。 正確な原因は不明ですが、DRAM 側の一部のアドレス線 ( A9 ライン ) が ROW アドレス専用である場合は、正常に認識できない疑いがあります。 ( DRAM は一般的に、ROW アドレスと COLUMN アドレスが対称の物と、非対称の物があります。 ) FM TOWNS で SIMM 増設時の注意モデル 1/2 では、使用できる SIMM は 1MB 若しくは 2MB のみです。また、モデル 10F/20F/40H/80H では 4MB または 8MB の SIMM を増設する時はマザーボード側のジャンパピン設定が必要です。 このほか CPU に 486 を搭載している機種ではアクセススピードが 80ns 以下の SIMM が必要 ( たけがみりうさんの 2019 年 8 月 21 日の投稿によると、HA は 60ns の SIMM が必須の模様 ) で有ったり、Pentium 搭載機では同一容量で 60ns 以下の SIMM を、同時に二枚一組で増設しなくてはならない、などの制限もあるようですのでご注意ください。 EPSON 機での SIMMSIMM によるメモリ増設が可能な EPSON の PC-98 互換機でも、増設メモリ側から本体側に何らかの形でメモリ容量を知らせるようになっています。 基本的には記事の冒頭で記載した通り、SIMM ID により SIMM のメモリ容量を本体へ伝える仕組みとなっていますが、一部の機種・増設 RAM ベースボードでは、SIMM ID が省略された JEDEC 仕様の SIMM も使用できるようになっていて、その場合には、ディップスイッチやジャンパスイッチの設定により、特定の SIMM ソケットに装着した SIMM の容量を本体側に知らせるようになっています。 この件に関しては全て/人'A`;人\様よりご教示頂きました、詳細は工作室の記憶様の「EPSON仕様のSIMMの判別法とJEDEC仕様のSIMMからEPSON仕様のSIMMを作る方法」や「エプソン98互換機のオンボードジャンパスイッチの設定」のほか、トランジスタ技術 1997 年 7 月号の 370 から 374 ページに掲載されている情報などをご覧ください。 SIMM ID とは関係しませんが、SIMM そのものの増設方法について Pentium 搭載機の場合、PC-9821 Bf、Xn のような例外を除けば「二枚一組で増設」が原則ですが、EPSON の PC-98 互換機になると、Pentium 搭載機以前でも PC-386GE と PC-486HA / HX / HG を除き、二枚一組での増設が必要な模様です。念のため。 おまけもはや SIMM ですら有りませんが、EPSON の PC-486PORTABLE で用いる SO-DIMM は基本的に JEDEC 仕様であるものの、ID の改造が必要な場合がある模様です。詳細は 2004 年 8 月に発行された「E-SaPa別冊 蘇るEPSON PC伝説 永久保存版」をご覧ください。 ( この件に関しても、/人'A`;人\様よりご教示頂きました ) 参考文献
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