試運転の資料館
玄関 総合案内 電算機部 営繕部 交通部 リンク

This web site is only compatible with Japanese text.

セガサターンのパワーメモリー認識法


セガサターンの端子類は接触不良を起こす事で有名で、パワーメモリーも 接触不良が主な原因となってデータを破損したり、そもそもパワーメモリー ー自体を認識しなかったりする事で有名です。

この記事では、考えられる原因や対策法を解説していきます。


一般的に考えられる原因

セガサターンに限らずに、一般的に端子類の接触不良の原因として、以下の要因が挙げられます。

  • 錫メッキと金メッキの組み合わせによる腐食 ( 異種金属接触腐食 ) 
  • カシメ不良や接触圧力の不足から来る緩み ( ボルトを用いた端子台の場合は、トルク値の管理が行えていない ) 、コンタクト自体の接触力が構造的に弱かったり、表面の仕上げが荒い
  • 振動による微摺導摩耗
  • 雰囲気に腐食や通電を阻害するガスや粉塵がある

以上が要因であるといわれます。


異種金属接触腐食は、イオン化傾向が大きく異なる金属を接触させ続け、そこに水分も加えた時に、卑金属だけが大きく腐食する現象の事をいいます。

イオン化傾向とは、金属の塊から金属イオンが析出しやすい度合の事で、イオン化傾向が比較的大きい金属 ( これを卑金属という ) の代表としてリチウム、アルミ、亜鉛、比較的中間値の金属として鉄、錫、銅。イオン化傾向が一番小さい金属 ( これを貴金属という ) のは金です。

なぜイオン化傾向が異なる金属を接触させ続けると腐食するかというと、電子量が異なる金属が接触している面に、水分が加わると電池が形成され、卑金属がアノードとなって外部から電流が流入して ( つまり電子が流出して ) 卑金属がイオン化 ( 腐食 ) してしまうからです。

SIMM メモリで金メッキを施してあるソケットに、錫メッキが施されたモジュールを刺すと接触不良を起こりやすいのは、これが原因です。こういう時の根本的な解消法は、接触する金属をイオン化傾向が同じ金属へ変更する ( つまり金メッキ同士か錫メッキ同士 ) 事です。

この現象は傍から見ると迷惑極まりない気がするのですが、逆にこれを応用して、防食を行う方法もあって、誰でもお世話になるのが鉄への亜鉛メッキです。鉄に、鉄から見ると卑金属な亜鉛でくるむことで、鉄が錆びる前に亜鉛が腐食する事で鉄の腐食を防いでいます。


カシメ不良は圧着不良を意味していて、一般に圧着端子での話なのですが、同様な話として端子台で電線をねじ止めしている時のトルク管理不足だとか、コンタクタの接触圧力が適切でない等も挙げられます。

ケーブルやコネクタの使用電圧が低い場合は、せいぜい動作不良程度の話で済みますが、これが電圧が高い ( 要は AC100V 電源など ) と、圧着不良の部分で加熱して最悪は燃えます。

ご家庭のコンセントで、使っている時に触るとなんだか暖かいコンセントがある、という場合は、延長コードであれば交換を、壁についているコンセントの場合は有資格者でないと触れませんので、念のために地域を管轄している電気保安協会や信頼できる電気工事店などに、点検を依頼される事をお勧めします。


微摺動摩耗 ( びしゅうどうまもう ) は別名、フレッティングコロ−ジョンとも呼び、端子が接触している部分に存在している微細な酸化した粒子などが、振動等により端子の接触表面を徐々に破壊していく現象を言います。この現象は金メッキより錫メッキに顕著に発生するとされています。

ただ金メッキであってもこの現象は起こり得るようで、メッキの厚さが不均一であったり、メッキ面でメッキが出来ていないピンホールが存在していると、その部分に不純物が吸着・堆積して、高温・高湿の時期に不純物が硬化し、接触不良が起こるようです。


セガサターンのパワーメモリー特有と思われる原因

セガサターンでは上記に加え、さらに不安要因があります。

  • そもそも、製造から20年近く経ていることから、フラッシュメモリーそのものの寿命
  • 拡張端子とパワーメモリー、及びその周辺が全体的に余裕をもっているからか、緩めである。
  • しかしフラッシュメモリICには、SIMMメモリにあるようなパリティビットなどエラー検出機構が備えられていない

どんな電気機器にも寿命が存在しています。セガサターンは既に製造から20 年以上経た個体が大半ですから、設計時に想定した寿命には達していると考えられます。また、フラッシュメモリーは書き換える度に素子が劣化していくので、書き換え回数に上限があります。

どう頑張ってもパワーメモリーが正常に使用できない場合、内部のフラッシュメモリーが書き換え回数の上限に達してしまっている可能性もありますから、別個体への交換も視野に入れると良いでしょう。


実際に触っていると感じますが、パワーメモリーを拡張端子に差し込むのに殆ど抵抗を感じません。別に抵抗が有れば良い訳ではないのですが、それにしても少々緩いように感じます。また、BABAX 氏曰く、拡張端子のコンタクタは 0.1mm ピッチで PCI スロットよりも狭いそうです。

これらを欠点として捉え検討すると、コンタクタの基板への接触圧力が適切でない、コンタクタとパワーメモリーの基板が斜めに接触して接触不良を起こしている、コネクタも基板も、本体のケースも全体的に余裕 ( というか隙間 ) をもっているにも拘らず、コンタクタのピッチには余裕がないので、うっかり信号線同士が接触して短絡している、という可能性が出てきます。


コネクタや基板は全体的に余裕を持っているにも関わらず、フラッシュメモリそのものにはエラー検知機構を設けてたりはしていないようです。出来ればこういう面にも力を入れて貰いたかったなと思いますが、セガサターンの設計が行われていた時代、メモリは全体的に高価な物でしたので、値段を考えるとやむを得なかったのかも知れません。

メモリの値段で分かりやすいのは SIMM メモリですね。20 年以上前、発売時点で大容量とされた SIMM メモリは定価だと諭吉さんが何枚も飛んでいく代物でしたから。また、PC-98 界隈では 64MB や 128MB で EDO かつ ECC 付な SIMM はその恐ろしい値段と本体側が認識しないかもしれないリスクから漢メモリなどと呼ばれたりしていましたね。

今では精々 1 〜 2 万円で入手できる事もあるので、良い時代になったものです。


まずは清掃

まずはこれを行わないことには始まりません。綿棒とイソプロピルアルコールを用意します。綿棒にしみこませて、ひたすらゴシゴシ磨きましょう。

ただし端子のメッキを傷つけないように注意してください。端子が傷つけば、それだけ電気抵抗は増えますので接触不良を起こしやすくなります。

仕上げに楽器やカメラ、メガネに使うクリーニングクロスを用いると幸せになれるかも知れません。


スロットの隙間を埋める

次に試す方法として、半差しと楔打込工法があります。

ただし、半差しは道具の用意や改造を行うことなくできるものの、あまり安定しません。 ( しっかりと固定さえできれば悩まずに済むのに... ) ですから、楔打込工法をお勧めします。

楔打込工法とは楔をパワーメモリーと本体の隙間に打ち込み、隙間をなくして固定するというものです。パワーメモリーの交換に手間がかかるのが難点ではありますが、確実性からいえばこちらが上です。

簡易版として、厚紙を挟む方法もあります。


一般的に接点復活剤と呼ばれるもの

上記二点を行っても改善しない、効果が長続きしない場合は接点復活剤を使用すると良いかもしれません。色んなメーカーが用途に合わせて色んな種類を出していますので、好きな物を選んでください。ただ、あまり余計な成分が含まれている物は微摺導摩耗の原因になりかねないので、避けた方が良いでしょう。

 ( 個人的には、『魔法をかけて』もらったかのような効果を得るつもりで、お金を『いっぱいいっぱい』使って自称オーディオ用とかいうのを購入する行為は、後で金額ほどの効果がない事を知って『何の意味があるんだろう…探してる…』と呟きながら、茫然自失になってしまう可能性が高いのでお勧めしかねます。 ) 

接点復活剤を使用する際、コネクタに直接吹きかけるのは避けたほうが良いでしょう。なぜならば、コネクタ絶縁部分が不用意に汚損する事により、絶縁性能の低下が心配されるからです。出来る限り、コンタクタのみに塗布するように心がけましょう。

使用した接点復活剤に油分が含まれている場合、埃が堆積しやすくなることが有りますので、取扱いに注意してください。

なお、上級者の中には俗にいう鉛筆ゴシゴシで解決を図る人もいるようです。


コンタクタ起こし

端子のコンタクタを起こす方法です。これはおそらく本体の分解が必要になってくると思います。少々職人芸が必要になりますので、何かで練習した上で行ってください。

これを行うには、冶具の製作が必要になります。細いワイヤーをパワーメモリーの基板の幅くらいになるよう折り曲げ、そのワイヤーを拡張端子に挿入してコンタクタに引っ掛け、コンタクタを起こします。コンタクタの起こし方にムラがあれば、起こしきれなかったコンタクタが接触不良を起こしますので注意しましょう。

またコンタクタと同時に、カートリッジ側の接続部両脇にバネ状なっている金属があるので、それも起こすとより良いでしょう。


アクセスランプの設置

これはセガサターン界隈では有名な BABAX 氏が提唱されている方法です。これはパワーメモリーへの改造を伴います。

アクセスランプで状態を見分けますが、アクセスランプが明るく点灯していれば良好なようです。 ( これはあの伝説のモデムにも応用できる方法なんだろうか... ? ) 


確認の徹底

上記の対策を行ってもデータ破壊の確率を下げるだけでしかないので、起動時に必ずパワーメモリー内データのチェックを行うようにしてください。

サターンのパワーメモリーの管理画面でデータ名やコメントは正常か、ブロック数は正常か、謎のゴミデータがないか、文字化けがないか等を必ず確認するようにしてください。こういったチェックをしやすいように、チェック用のダミーデータを入れておくと良いでしょう。

初期化を要求されてもいきなり応じずに、電源の開放 ( 切断 ) 後、パワーメモリーの差し直しを行って電源を再投入する事を試してみてください。

なおパワーメモリーを刺しっぱなしにしたまま、うっかり拡張 RAM 対応ソフト、拡張 ROM 対応ソフトを起動するとデータを破壊される恐れがありますので、注意してください。


あとがき

セガサターンというと、どうにも端子の接触不良がついて回ります。今回の拡張スロットにしろ、映像出力端子にしろ...まったくもって困りものです。


参考文献
セガサターン・パワーメモリー認識術


indexへ戻る

Copyright (C) 2016 "shiunten"