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国産電算機のピンアサイン
初期の 3.5 型 FDD 34 ピン端子編


もくじ

はじめに

3.5 型 FDD は、ソニー株式会社が昭和五十五年 ( 1980 年 ) の年末に発表しました。

歴史の詳細については参考文献を参照して頂くとして、初期の 3.5 型 FDD と現在一般的に見かける PC / AT 互換機用の 3.5 型 FDD を比較すると、ピンアサインに違いが有ります。次に、ピンアサインの一例を示します。


FDD 端子は端子形状とピン数にいくつかの種類がありますので、注意してください。

また、端子形状やピン数が同一であるにも関わらずピンアサインが反転 ( この状態を俗に、「反転ケーブル」や「反転コネクタ」などと呼ぶ ) している事も有ります。詳細は工作室の記憶様の「コネクタの種類とピン番号」、にが HP 様の「MSX の FDD READY 信号の考察と検証」という記事を参照して下さい。

端子や電線の物理的形状の規格は内蔵型 FDD の場合、ボックス型ピンヘッダ端子は JEITA RC-5224A 相当品、電線はスリーエム ジャパン株式会社の 3365/34 相当品が基本になると思われます。

余談になりますが、FDD に使用するスイッチング電源は「最新フロッピ・ディスク装置とその応用ノウハウ」によると、無負荷から最大負荷までのステップ変動に強く、かつ、そのスイッチング周波数は FDD が使用する 62.5kHz から 250kHz を避けて出来るだけ低めにすると良いようです。


FDD 端子 ピンアサイン
 ( ソニー製 FDD 34 ピン形 その 1 ) 

ソニー株式会社が最初に発表した 3.5 型 FDD は OA-D30V / 31V で、ディスク回転数 600 回転、片面、70 トラック、データ転送レート 500kbit / sec、手動式シャッター仕様という、当時は勿論のこと、その後の歴史を見てもかなり特殊といえる仕様でした。

OA-D30V / 31V の次に製品化されたのが OA-D32V / 32W で、ANSI ( 米国国家規格協会 ) へ規格化を提案する目的も有ってディスク回転数 300 回転、片面または両面、80 トラック、データ転送レート 500kbit / sec、自動式シャッター仕様となりました。これがのちの 3.5 型 FDD の原型となる仕様です。

OA-D32V / 32W ではトラック数が 70 から 80 へ増加していますが、これはディスク側も含め内周側に拡張する事で実現しています。

OA-D32V / 32W までの機種ではデータ転送レートが 500kbit / sec、端子も 26 ピン型だった為、5.25 型 FDD をそのまま置き換えるには不向きでしたが、置換しやすい様にデータ転送レートを 250kbit / sec、端子を 34 ピン型としたのが次に示す OA-D33V / 33W です。

表中、最も左端の数字はピン番号です。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( ソニー製 FDD 34 ピン形 その 1 ) 

ソニー
OA-D33V
ソニー
OA-D33W



スリーエムジャパン
3414-6500 相当品



参考写真
なし
1 DISK CHANGE
RESET
※1
DISK CHANGE
RESET
※1
2 Disk Change
※2
Disk Change
※2
3 GND GND
4 IN USE IN USE
5 GND GND
6 Drive Select 3 Drive Select 3
7 GND GND
8 Index Index
9 GND GND
10 Drive Select 0 Drive Select 0
11 GND GND
12 Drive Select 1 Drive Select 1
13 GND GND
14 Drive Select 2 Drive Select 2
15 GND GND
16 Motor ON Motor ON
17 GND GND
18 Direction Select Direction Select
19 GND GND
20 Step Pulse Step Pulse
21 GND GND
22 Write Data Write Data
23 GND GND
24 Write Enable
※3
Write Enable
※3
25 GND GND
26 Track 00 Track 00
27 GND GND
28 Write Protect Write Protect
29 GND GND
30 Read Data Read Data
31 GND GND
32 Non Connected Side Select
※4
33 GND GND
34 Ready Ready
  • ※1
    Disk Change 信号をリセットする為に使用される信号で、この信号が L レベルの時にディスクを挿入して FDD が選択された状態になると Disk Change 信号は H レベルとなって、ディスクが本体側に認識される。
  • ※2
    ディスクを排出した、変更した事を検出する為の信号。FDD からディスクが排出されると L レベルとなるが、後の時代の FDD ではリセット条件を満たすと自動で H レベルになるものの、この FDD ではディスクを挿入して FDD が選択された状態になった時に、DISK CHANGE RESET 信号でリセットすると H レベルになる様だ。
  • ※3
    別名、Write Gate 信号。元々の仕様書ではこちらの名称で記載されている。
  • ※4
    別名、Head Select 信号。元々の仕様書ではこちらの名称で記載されている。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( ソニー製 FDD 34 ピン形 その 2 ) 

先述した OA-33V / 33W よりも後に製品化されたのが、次に示す FDD です。ピンアサインは現在一般的に見かける PC / AT 互換機用の 3.5 型 FDD に近くなっていますが、それでもまだ違いが有ります。

表中、最も左端の数字はピン番号です。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( ソニー製 FDD 34 ピン形 その 2 ) 

ソニー
MP-F17W
ソニー
MP-F52W
ソニー
MP-F53W



スリーエムジャパン
3414-6500 相当品



参考写真
なし
1 GND DISK CHANGE
RESET
※1
DISK CHANGE
RESET
※1
2 Non Connected Disk Change
※2
Disk Change
※2
3 GND +5V GND
4 Non Connected IN USE IN USE
5 GND +5V GND
6 Drive Select 3 Drive Select 3 Drive Select 3
7 GND +5V GND
8 Index Index Index
9 GND +5V GND
10 Drive Select 0 Drive Select 0 Drive Select 0
11 GND +5V GND
12 Drive Select 1 Drive Select 1 Drive Select 1
13 GND GND GND
14 Drive Select 2 Drive Select 2 Drive Select 2
15 GND GND GND
16 Motor ON Motor ON Motor ON
17 GND GND GND
18 Direction Select Direction Select Direction Select
19 GND GND GND
20 Step Pulse Step Pulse Step Pulse
21 GND GND GND
22 Write Data Write Data Write Data
23 GND GND GND
24 Write Enable
※3
Write Enable
※3
Write Enable
※3
25 GND GND GND
26 Track 00 Track 00 Track 00
27 GND GND GND
28 Write Protect Write Protect Write Protect
29 GND +12V GND
30 Read Data Read Data Read Data
31 GND +12V GND
32 Side Select
※4
Side Select
※4
Side Select
※4
33 GND +12V GND
34 Disk Change Ready Ready
  • ※1
    Disk Change 信号をリセットする為に使用される信号で、この信号が L レベルの時にディスクを挿入して FDD が選択された状態になると Disk Change 信号は H レベルとなって、ディスクが本体側に認識される。
  • ※2
    ディスクを排出した、変更した事を検出する為の信号。FDD からディスクが排出されると L レベルとなるが、後の時代の FDD ではリセット条件を満たすと自動で H レベルになるものの、この FDD ではディスクを挿入して FDD が選択された状態になった時に、DISK CHANGE RESET 信号でリセットすると H レベルになる様だ。
  • ※3
    別名、Write Gate 信号。元々の仕様書ではこちらの名称で記載されている。
  • ※4
    別名、Head Select 信号。元々の仕様書ではこちらの名称で記載されている。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( シチズン製 FDD 34 ピン形 ) 

シチズン時計株式会社が初期に製造した 3.5 型 FDD についても、ピンアサインが少々独特な仕様でした。次にその例を示します。

表中、最も左端の数字はピン番号です。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( シチズン製 FDD 34 ピン形 ) 

シチズン
0SDA-00A
シチズン
0RDA-10A



スリーエムジャパン
3414-6000 相当品



参考写真
なし
1 GND DISK CHANGE
RESET
※1
2 High Density Disk Change
※2
3 GND High Density
4 IN USE IN USE
5 GND +5V
6 Drive Select 3 Drive Select 3
7 GND +5V
8 Index Index
9 GND +5V
10 Drive Select 0 Drive Select 0
11 GND +5V
12 Drive Select 1 Drive Select 1
13 GND +5V
14 Drive Select 2 Drive Select 2
15 GND +5V
16 Motor ON Motor ON
17 GND KEY Pin
18 Direction Select Direction Select
19 GND GND
20 Step Pulse Step Pulse
21 GND GND
22 Write Data Write Data
23 GND GND
24 Write Enable
※3
Write Enable
※3
25 GND GND
26 Track 00 Track 00
27 GND GND
28 Write Protect Write Protect
29 GND GND
30 Read Data Read Data
31 GND GND
32 Side Select Side Select
33 GND GND
34 Ready
または
Disk Change
Ready
  • ※1
    Disk Change 信号をリセットする為に使用される信号で、この信号が L レベルの時にディスクを挿入して FDD が選択された状態になると Disk Change 信号は H レベルとなって、ディスクが本体側に認識される。
  • ※2
    ディスクを排出した、変更した事を検出する為の信号。FDD からディスクが排出されると L レベルとなるが、後の時代の FDD ではリセット条件を満たすと自動で H レベルになるものの、この FDD ではディスクを挿入して FDD が選択された状態になった時に、DISK CHANGE RESET 信号でリセットすると H レベルになる様だ。
  • ※3
    別名、Write Gate 信号。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( パナソニック製 FDD 34 ピン形 その 1 ) 

ここまで来ると他のメーカーが初期に製造した 3.5 型 FDD はどうなのか、と気になってきます。

調べてみると、例えばパナソニック株式会社 ( ここでは、当時の松下通信工業株式会社。松下グループの場合は製品により製造会社が入り組む様にして異なる為、仕様書や部品を探す時など注意を要する。 ) が初期に製造した 3.5 型 FDD についても、ピンアサインが少々独特な仕様でした。次にその例を示します。

表中、最も左端の数字はピン番号です。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( パナソニック製 FDD 34 ピン形 その 1 ) 

パナソニック
JU-253
パナソニック
JU-257



スリーエムジャパン
3414-6000 相当品



参考写真
なし
1 DISK CHANGE
RESET
※1
DISK CHANGE
RESET
※1
2 Disk Change
※2
または
DISK IN
※3
High Density Out
※5
または
Mode Select
3 GND GND
4 IN USE IN USE
5 GND GND
6 Drive Select 3 Drive Select 3
7 GND GND
8 Index Index
9 GND GND
10 Drive Select 0 Drive Select 0
11 GND GND
12 Drive Select 1 Drive Select 1
13 GND GND
14 Drive Select 2 Drive Select 2
15 GND GND
16 Motor ON Motor ON
17 GND GND
18 Direction Select Direction Select
19 GND GND
20 Step Pulse Step Pulse
21 GND GND
22 Write Data Write Data
23 GND GND
24 Write Enable
※4
Write Enable
※4
25 GND GND
26 Track 00 Track 00
27 GND GND
28 Write Protect Write Protect
29 GND GND
30 Read Data Read Data
31 GND GND
32 Side Select Side Select
33 GND GND
34 Ready
または
Disk Change
※2
または
DISK IN
※3
Ready
または
Disk Change
※2
または
DISK IN
※3
  • ※1
    Disk Change 信号をリセットする為に使用される信号で、この信号が L レベルの時にディスクを挿入して FDD が選択された状態になると Disk Change 信号は H レベルとなって、ディスクが本体側に認識される。
  • ※2
    ディスクを排出した、変更した事を検出する為の信号。FDD からディスクが排出されると L レベルとなるが、後の時代の FDD ではリセット条件を満たすと自動で H レベルになるものの、この FDD ではディスクを挿入して FDD が選択された状態になった時に、DISK CHANGE RESET 信号でリセットすると H レベルになる様だ。
  • ※3
    ディスク挿入時に本体へ通知する為の信号。
  • ※4
    別名、Write Gate 信号。
  • ※5
    FDD への入力ではなく、FDD からの出力として定義。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( パナソニック製 FDD 34 ピン形 その 2 ) 

パナソニック株式会社 ( ここでは、当時の松下通信工業株式会社 ) が初期に製造した 3.5 型 FDD には、FDD の高さ ( 厚さ ) が 32mm の FDD も有りましたが、この FDD についてもピンアサインが少々独特な仕様でした。次にその例を示します。

表中、最も左端の数字はピン番号です。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( パナソニック製 FDD 34 ピン形 その 2 ) 

パナソニック
JU-313
JU-323
JU-363
パナソニック
JU-364
パナソニック
JU-386
JU-394



スリーエムジャパン
3414-6500 相当品



参考写真
なし
1 DISK CHANGE
RESET
※1
GND DISK CHANGE
RESET
※1
2 Disk Change
※2
または
DISK IN
※3
Non Connected High Density
3 GND GND GND
4 IN USE IN USE IN USE
5 GND GND GND
6 Drive Select 3
または
Motor ON 3
Drive Select 3
または
Motor ON 3
Drive Select 3
7 GND GND GND
8 Index Index Index
9 GND GND GND
10 Drive Select 0 Drive Select 0 Drive Select 0
11 GND GND GND
12 Drive Select 1 Drive Select 1 Drive Select 1
13 GND GND GND
14 Drive Select 2
または
Motor ON 2
Drive Select 2
または
Motor ON 2
Drive Select 2
15 GND GND GND
16 Motor ON Motor ON Motor ON
17 GND GND GND
18 Direction Select Direction Select Direction Select
19 GND GND GND
20 Step Pulse Step Pulse Step Pulse
21 GND GND GND
22 Write Data Write Data Write Data
23 GND GND GND
24 Write Enable
※4
Write Enable
※4
Write Enable
※4
25 GND GND GND
26 Track 00 Track 00 Track 00
27 GND GND GND
28 Write Protect Write Protect Write Protect
29 GND GND GND
30 Read Data Read Data Read Data
31 GND GND GND
32 Side Select
※5
Side Select Side Select
33 GND GND GND
34 Ready Ready Ready
または
Disk Change
※2
  • ※1
    Disk Change 信号をリセットする為に使用される信号で、この信号が L レベルの時にディスクを挿入して FDD が選択された状態になると Disk Change 信号は H レベルとなって、ディスクが本体側に認識される。
  • ※2
    ディスクを排出した、変更した事を検出する為の信号。FDD からディスクが排出されると L レベルとなるが、後の時代の FDD ではリセット条件を満たすと自動で H レベルになるものの、この FDD ではディスクを挿入して FDD が選択された状態になった時に、DISK CHANGE RESET 信号でリセットすると H レベルになる様だ。
  • ※3
    ディスク挿入時に本体へ通知する為の信号。
  • ※4
    別名、Write Gate 信号。
  • ※5
    JU-363 のみ。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( 日電製 FDD 34 ピン形 ) 

PC-9800 向けの FDD では少々独自のピンアサインを採用した日本電気株式会社ですが、その他にも主にワープロ機で使用されたと思われる FDD や、大容量化を目指した FDD を中心に、ピンアサインが少々独特な仕様の FDD が有りました。次にその例を示します。

表中、最も左端の数字はピン番号です。

FDD 端子 ピンアサイン
 ( 日電製 FDD 34 ピン形 ) 

日電
FD1036A
日電
FD1335H



スリーエムジャパン
3414-6000 相当品



参考写真
なし
1 GND GND
2 Motor ON 1 Density Control 2
※1
3 GND Non Connected
4 IN USE IN USE
5 GND GND
6 Drive Select 3 Non Connected
7 GND Non Connected
8 Index Index
9 GND GND
10 Drive Select 0 Drive Select 0
11 GND Non Connected
12 Drive Select 1 Drive Select 1
13 GND GND
14 Drive Select 2
または
Motor ON 1
Non Connected
15 GND Density Control 1
※1、※2
16 Motor ON Motor ON
17 GND GND
18 Direction Select Direction Select
19 GND GND
20 Step Pulse Step Pulse
21 GND GND
22 Write Data Write Data
23 GND GND
24 Write Enable
※3
Write Enable
※3
25 GND GND
26 Track 00 Track 00
27 GND Density Control 1
※1、※2
28 Write Protect Write Protect
29 GND GND
30 Read Data Read Data
31 GND GND
32 Side Select Side Select
33 GND GND
34 Ready Ready
または
Disk Change
  • ※1
    二つの Density Control 信号により、ディスクの記録密度を切り替える。Density Control 1 信号が H レベル ( Density Control 2 信号のレベルは問わない ) の場合、13MB モード、Density Control 信号が両方とも L レベルの場合、2.0MB モード、Density Control 1 信号が L レベル、Density Control 2 信号が H レベルの場合、1.0MB モードとなる。
  • ※2
    15 番ピンか 27 番ピンを選択。共有しない場合は、15 番ピンを Drive 0 へ割り当てる。
  • ※3
    別名、Write Gate 信号。

参考文献


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