試運転の資料館
玄関 総合案内 電算機部 営繕部 交通部 通信部

This web site is only compatible with Japanese text.

移動電線施設時の注意点


もくじ

はじめに

巷では、電源コードの類を綺麗に整理したいからと壁に固定したり、樹脂モールの中へ入れたりしている方がいらっしゃるのですが...気持ちとしては大変理解できるものの、電路の保護は問題ないか非常に気になります。

そこで、余計なお世話ではありますが電源コードについて内線規程 ( 一般社団法人 日本電気協会が出している民間規格で、電気設備技術基準を具体的に解釈して書かれている物になります。電力会社が電力供給の可否を判断する場合の基準として用いられている様ですので、ある意味、法律のような物でしょう ) を元にして電源コードに関する注意点を書いてみようと思います。


電源コードの定義

まずは、そもそも電源コードとは何ぞや ? と言うところからです。多くの方は、ケーブルと電線とコードと同じ意味で使っていますが、法的には違うものを指します。

「電気設備に関する技術基準を定める省令 第 1 条第 1 項六号」より「電線」とは、強電流電気の伝送に使用する電気導体、絶縁物で被覆した電気導体又は絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体をいいます。

何が違うのかと言うツッコミが来そうですが、よく見ると絶縁体の仕様が違います。絶縁体の仕様が異なれば、法律上、内線規程上の規制内容が異なります。

参考 - 法令上の定義

法令上の言い回しのままでは、具体的な仕様がよく分かりません。そこで、以下に句読点や「又は」で区切ったうえで、具体的な例を記載しました。

  • 強電流電気の伝送に使用する電気導体

いわゆる裸電線、JIS C 3101 ( 電気用硬銅線 ) など

  • 絶縁物で被覆した電気導体

いわゆる絶縁電線、JIS C 3307 ( 600V ビニル絶縁電線、IV 電線 ) など

  • 絶縁物で被覆した上を保護被覆で保護した電気導体

いわゆるケーブル、JIS C 3342 ( 600V ビニル絶縁ビニルシースケーブル、VVF ケーブル、VA ケーブル ) など

電線とケーブルの違いは、保護被覆 ( いわゆるシース ) の有無に依ります。

電源コードは一見、絶縁電線かケーブルとイコールの物だと思われがちですが、実際には異なる扱いを受けます。

詳しく記載すると「内線規程 3203-1 コードの使用制限」により、「コードは、電球線及び移動電線として使用する場合に限る」の通り、コードは電球線または移動電線として使用します。

「電球線」は、「電気設備の技術基準の解釈 第 142 条五号」より「電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定しない白熱電灯に至るものであって、造営物に固定しないものをいい、電気機械器具内の電線を除く。」を指し、「移動電線」は同解釈 第 142 条六号より「電気使用場所に施設する電線のうち、造営物に固定しないものをいい、電球線及び電気機械器具内の電線を除く。」を指します。

そして、電球線や移動電線の施設方法は同解釈 第 170 条および第 171 条にあり、この中で使用する電線としてコードやキャブタイヤケーブルが挙げられています。

先述した内容を要約して定義を記載すると、「コードとは、固定せずに使用する電球線または移動電線」と言えます。


電源コードの施設方法

「内線規程 3203-1 コードの使用制限」よりコードは、電球線及び移動電線として使用する場合に限るものとし、固定した配線として施設しないこと。

これが基本原則です。ただ、この後にただし書きがあってショーケース又はこれらに類するものの内部配線に限って、配線を固定しても良い事になっています。

しかし固定方法には指定が有り、「内線規程 3205-7 ショウウィンドー、ショーケース又はこれらに類するものの内部配線」によると、ショウウィンドー等の内部に用いるコードやキャブタイヤケーブルは外部から見えやすい場所に限り、ビニル等を取り付けた絶縁ステープル等で固定する事のみ許されています。

この条文からすると、例えばオーディオラックの内部で、外部から見えやすい場所へビニル等を取り付けた絶縁ステープルによる固定はそこまで大きな問題はないものの、壁面に設置した樹脂モール内へ配線するのは、内線規程に抵触していると考えられます。

その他の例として、テーブルタップや OA タップは、ねじで完全に固定したくなるかも知れませんが、「電気用品の範囲等の解釈について 3.3 接続器及びその附属品関係」の解釈からすると、ねじで完全に固定する行為は抵触してしまうと考えられます。よく OA タップで見かけるねじ穴っぽい物は、先述した基準に抵触しない様、「フックに軽く引っ掛けて仮固定する為の穴」という扱いになっています。

テープで固定する場合、程度にもよると思われますが、養生テープでもあまり強固に固定したら抵触してしまう、と考えるのが自然でしょう ( この辺りの厳密な解釈については、この記事の執筆者は判断する立場に有りません ) 。どうしても仮固定したい、という場合は、コードを仮固定する為の専用のテープが販売されていますので、それを活用しましょう。

延長コードを複数本接続する場合、躓いた時に抜けない様にコード同士を結びつけたくなる事も有るかも知れませんが、「内線規程 3203-3 固定電気機械器具に附属する移動電線」で、「著しい衝撃を受けないように施設すること」とある事を考えれば、そもそもコードを躓いて著しい衝撃を与える様な場所 ( 例えば、何も考えずに床のど真ん中に放置しておく ) に施設する事自体が、おかしい訳です。

延長コードへ著しい衝撃を与える事が無い様、通路の端に寄せておく、通路を横断する必要が有る場合は床面ではなく天井面で仮固定する、根本的に電源が必要な機器の配置を見直す、という手段をお勧めします。


電源コードの許容電流

電源コードに限らず、電線には許容電流値というものがあります。固定して良い場合も当然このことを考えながら施設するのですが、周囲温度によって許容電流値が異なります。

細かな数値は、「内線規程 1340-2 コードなどの許容電流」をご覧いただくとして内規に書いてある数値は、周囲温度30度の時、1本だけ適当にころがして配線した場合の数値です。

周囲温度が異なれば許容電流値が違いますし、複数の電源コードが並列して敷設してある場合も、JCS 0168-2「33kV以下電力ケーブルの許容電流計算-第2部 : 低圧ゴム · プラスチックケーブルの許容電流」により許容電流値が低くなりますので注意してください。


電源コードの長さ

電源コードの長さに関しては特に規制はないようです、しかし、電圧降下、保護協調との兼ね合いを考慮し、「電気設備の技術基準の解釈 第 148 条 第 1 項四号」を参考とすると、3m 以下として極力短くする事が望ましいと考えられます。

この条文は低圧幹線の中でもいわゆる連接幹線の保護協調に関する規定で、電源側電路 ( 太い幹線 ) から分岐幹線 ( 細い幹線 ) へ分岐させる場合について書いてあり、いわゆる「ただし書き」によると長さが 3m 以内の分岐幹線は、許容電流を低く設定出来ます。

許容電流を低く設定できる理由は「電気設備の技術基準の解釈の解説」によると、「分岐幹線の電線の長さが極めて短いときには、実態上この間で短絡事故が生じる可能性はない」という考え方が元になって、このような基準になっている様です。


おわりに

非常に駆け足でしたが、以上が移動電線施設時の注意点になります。保護協調を無視した電線の施設は、火災の原因になりますのでお止め下さい。


参考文献


玄関へ戻る

Copyright (C) 2016 "shiunten"