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電線の相配列及び色別


もくじ

はじめに

電線を敷設する際、誤配線による地絡や短絡などの事故の発生を防止する為の手法として、相配列の統一や使用する電線の色別があります。これは建築設備としての電気設備だけではなく、機器類の電源装置でも同様の手法が用いられている事があります。

電力用の多芯ケーブルについては法令上、低圧と高圧の両方で「色分けその他の方法により線心が識別できること」が必要であると、電気設備の技術基準の解釈 第三条 二号および、電気設備の技術基準の解釈の解説に明記されています。しかし、具体的な色については規定されていない様です。

JIS C 0446「色又は数字による電線の識別」では、標準として用いる色として「黒、茶、赤、黄、オレンジ、緑、青 ( ライトブルーも含む ) 、紫、灰色、白、ピンク、青緑」を挙げていますが、詳細な指定は一部の例外を除けば行っていません。


相配列及び色別 ( 強電 ) 

次に、電線の相配列及び配線色別の参考例を示します。まずは、電力 ( 強電 ) 用の参考例です。

電線の相配列及び色別 ( 電力 ) の参考
※1、※2、※3、※4
左右
上下
遠近
の別
左右の場合は左から ( 直流は右 ) 
上下の場合は上から
遠近の場合は近い側から
※5
配電
方式
単相
2 線
単相
3 線
三相
3 線
三相
4 線
直流
2 線
第一相
 ( 正極 ) 
中性相 -
※7
※9
-
※7
※9
-
接地側
第二相

※6
※9
-
※9
- -
非接地
第二相
 ( 負極 ) 

※6

※6

※8

※8
第三相 - - -
接地 単色の緑または、緑と黄の組み合わせ
※10、※11、※12
  • ※1
    この一覧表は、公共建築工事標準仕様書 ( 電気設備工事編 ) 令和 4 年度版をベースに作成したものである。電力会社、通信会社などを中心に、上記とは全く異なる基準を定めている場合が有るので、注意を要する。
  • ※2
    例えば三相 3 線では上記によると、色別は第一相、接地側第二相、第三相の順に赤、白、青の順だが、東京電力では黒、赤、白となる。また各相の配列順も、引込口で東京電力と需要家が各相を縦に並べたがいし引き配線で接続する場合、最下部に接地側の相を持ってくるのが標準であるなど、基準が異なっている。
  • ※3
    電線の外皮 ( シース ) の色については特段の規定は無いが、日本国内では一般的に、屋外で用いるケーブルの外皮については紫外線対策として黒を、屋内で用いるケーブルの外皮については、商用電源回路と自家発電回路で区別する必要がある場合に JIS T 1022 に準じて、自家発電回路側を赤とする例がある。このほか、意匠的な仕上げ色に統一する場合もある。
  • ※4
    接地方式が TN 方式の際に用いる PEN 導体は、「ライトブルー」と「緑と黄の組み合わせ」の色を適切に用いて施設する。
  • ※5
    左右、遠近の別は、正面から見た状態とし、分岐回路の色別は原則として、分岐前の色別と同等とする。
  • ※6
    JEM1134 では、青とする。
  • ※7
    JEM1134 では、黒とする。
  • ※8
    JEM1134 では、白とする。
  • ※9
    IEC60446 基準ではライトブルーとなるが、北米においては白とライトブルーが同等として用いられている。
  • ※10
    日本国内では一般的に、「単色の緑」と「緑と黄の組み合わせ」の電線の両方を用いて、漏電遮断器で保護されている電路の保護接地線と、それ以外の保護接地線を区別する手法が一般的に行われている。
  • ※11
    JIS C 0446 では、「単色の黄及び緑」は「緑と黄の組み合わせ」の場合と混乱するおそれがあるところでは使用してはならないと規定しているが、日本国内では一般的に、分電盤内制御回路の電線に単色の黄が用いられている。なお IEC60446 基準では、交流の制御回路は赤、直流の制御回路は青、外部給電のインタロック回路はオレンジである。
  • ※12
    IEC60446 基準では「緑と黄の組み合わせ」に限定されているが、北米においては「単色の緑」と「緑と黄の組み合わせ」が同等として用いられている。

多芯ケーブル内のライトブルーの電線については、保護接地線以外の用途へ転用する事が JIS C 0446 で認められています。

なお JIS C 3662-1 によると、IEC 規格では多芯ケーブルの色別として 3 芯ケーブルの場合は「緑と黄の組み合わせ、青、茶」または「茶、黒、灰」、4 芯ケーブルの場合は「緑と黄の組み合わせ、茶、黒、灰」または「青、茶、黒、灰」、5 芯ケーブルの場合は「緑と黄の組み合わせ、青、茶、黒、灰」または「青、茶、黒、灰、黒」が用いられている様です。


色別 ( 弱電 ) 

次は通信 ( 弱電 ) 用のうち、一般的な通信用ケーブルの参考例です。ケーブル製造メーカーにより多少の差は有りますが、国内向けの場合は概ね以下の各表の様な配列になっている事が多いようです。表中、最も左端の数字はピン番号です。

電線の相配列及び色別 ( 通信 ) の参考
※一般的な通信用ケーブル
線番号 第一種線心色 第二種線心色
1
2
3
4
5
6 -

最初の 1 本目から 5 本目までは第一種線心色の単色とし、6 本目以降は第二種線心色との組み合わせ ( 6 本目から 10 本目までが第一種線心色と白との組み合わせ、 11 本目から 15 本目までが第一種線心色と茶との組み合わせ、という具合 ) で区別します。

なお国外だと、DIN 47100 のような仕様も有ります。


色別 ( 電話 ) 

次に示すのは電話局や構内交換設備 ( 電話設備 ) で用いる SWVP ケーブルのの参考例で、これも線心色や、プリントマークの形状および色の組み合わせで区別します。

電線の相配列及び色別 ( 通信 ) の参考
※電話局や構内交換設備で用いるケーブル
線番号 線心色 プリント
マーク形状
プリント
マークの色
1 -
 ( 短点 ) 
2 - -
 ( 短点 ) 
3 - - -
 ( 短点 ) 
濃緑
4 - - - -
 ( 短点 ) 
-
5 - - - - -
 ( 短点連続 ) 
-

構内交換設備も、国外では 25pair color code のような仕様も有ります。


色別 ( LAN ) 

LAN ( 構内情報通信網 ) 設備に用いる UTP ケーブルでは、配列が二種類有りますので両方併記します。

電線の相配列及び色別 ( 通信 ) の参考
※ UTP ケーブル
線番号 T568A 結線 T568B 結線
1 白と緑
組合せ
白と橙
組合せ
2
3 白と橙
組合せ
白と緑
組合せ
4
5 白と青
組合せ
白と青
組合せ
6
7 白と茶
組合せ
白と茶
組合せ
8

線名札の記載例

以下は、電線に取り付ける線名札 ( ケーブルタグ ) の記入例です。

線名札 ( ケーブルタグ ) の記入例
配線の用途 ( 配線番号 ) 
電源 ( 信号 ) 種別
施工年月
配線の種類
配線の行先表示
 ( 電源か信号の出力地点 ) 
配線の行先表示
 ( 電源か信号の入力地点、または負荷機器名称 ) 

操作釦や表示灯の色別

電線の相配列及び色別とはズレますが、折角なので制御盤や中央監視、自動制御などで見かける、表示灯や操作釦の色別についてもおまけで記載します。

JIS C 0448 によれば、表示部 ( 表示灯など ) と操作部 ( 操作釦など ) で使用できる色は「赤、黄、緑、青、黒、灰、白」です。

まずは、表示部に関する色別を示します。

表示部の色の参考
 ( 人体、資産や環境の安全に関する表示部の場合 ) 
意味 上段が説明
下段が操作員の動作

危険

危険な状況又は非常 ( 緊急 ) 指令
危険状態を処理するための即時対応

注意

故障、欠陥状態、恒久又は一時的な危険のおそれ
危険状態防止のための介在

安全

安全な状態の表示、続行可能、方法が明確
動作の必要なし

強制

強制動作の必要性の表示
強制動作

-

特別な意味付けは与えていない

-

-


次に、操作部に関する色別を示します。

操作部の色の参考

意味

説明

危険

危険又は非常 ( 緊急 ) の場合の動作

注意

異常な状態の場合の動作

安全

安全な状態又は正常な状態の動作

強制

動作を必要とする状態

-

特別な意味付けは与えていない

-

-

上記の補足事項

  • 非常 ( 緊急 ) 用の操作部
    赤とする
  • 停止用の操作部
    白、灰、黒が好ましく、最も適切な色は黒であるが、赤でもよい。ただし、緑は使用しない。非常 ( 緊急 ) 用と兼用する場合は、赤とする。
  • 始動用の操作部
    白、灰、黒が好ましく、最も適切な色は白であるが、緑でもよい。ただし、赤は使用しない。
  • 非常 ( 緊急 ) 停止用操作機器の操作部が赤の場合、取付面の色は対比を考慮して、黄が望ましいとされている。

最後に、表示部および操作部の一覧表に基づいた参考例を示します。

受変電設備や自家発電設備の
表示灯、制御用スイッチの参考
表示灯の意味
 ( 受変電設備 ) 
表示灯の意味
 ( 自家発電設備 ) 
制御用スイッチの
意味
動作中 送電中
または重故障
停止
故障 軽故障 -
- - 再始動
停止 停止 始動
受電中 商用電源を受電中
または
制御電源は正常
-

この一覧表は、公共建築工事標準仕様書 ( 電気設備工事編 ) 令和 4 年度版をベースに作成したものである。プラントなどを中心に、上記とは全く異なる基準を定めている場合が有るので、注意を要する。


参考文献


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