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FD1037A と FD1137 シリーズの雑記


もくじ

はじめに

先日、FD1037A という FDD を入手しました。

詳細な素性は不明ですが、型番の付け方や製造時期から推測すると、かつて存在した日本電気ホームエレクトロニクス株式会社 ( NEC-HE ) が製造したワープロ機である、文豪シリーズなどに使われた 2DD 専用の FDD と思われます。

FD1037A そのものは PC-9800 シリーズで使用できるか不明ですが、少なくとも型番からは PC-9800 シリーズで使用されている FD1137 シリーズの類似品ではないか、と想像できます。

類似品かも知れないのであれば、調査するしかない。という訳で、この記事は「FD1037A の中身を暴いてやろう」と調査した時の備忘録です。


分解方法

FD1037A の制御基板を取り出すには、FDD を一旦分解する必要が有りますが、筐体やシャッター、イジェクトボタンなどの分解および組立の方法はクセが強く、ほかの FDD と比べて複雑な手順になっています。

幸いなことに、分解の手順そのものは FD1137 シリーズと同じです。FD1137 シリーズの分解手順の詳細は工作室の記憶様の「FD1137D の分解と修理」という記事で詳しく解説されていますので、そちらの記事を参照してください。


調査結果

結論から記載すると、スピンドルモーターやヘッド、制御基板は FD1137 シリーズに酷似していましたが、全く同一という訳でも有りませんでした。

FD1037A の調査結果
参考写真 説明文

参考写真-1

FDD 上部のシールド板と、そこに記載されている型番、部品番号 ( P/N ) 。

型番 : FD1037A
P/N : 134-500474-106-0

参考写真-2

FDD に存在する 2 つの制御基板のうち、FDD 上部側にある基板。P/N は G8AUJ ( 134-856230-3-4 ) です。

両面基板と思われますが、電解コンデンサは参考写真で写している FDD の内側にのみ有ります。耐圧、容量はそれぞれ次の通りです。

C1 : 16V47µF
C2 : 16V22µF
C3 : 16V10µF
C4 : 16V10µF

参考写真-3

FDD に存在する 2 つの制御基板のうち、FDD 下部側にある基板。

両面基板と思われますが、電解コンデンサは参考写真で写している FDD の外側にのみ有ります。耐圧、容量はそれぞれ次の通りです。

C1 : 16V10µF


おまけ

PC-9800 シリーズでは多種多様な FDD が採用されていますが、3.5 型 FDD の一つとして FD1137 シリーズが採用されているのは先述した通りで、87 年後半から 91 年初頭頃に発売された本体や周辺機器で、搭載されている例が多い様です。

FD1137 シリーズは VFO 回路が内蔵されている FD1137D と、VFO 回路を内蔵していない FD1137C に大別されますが、型番と共に割り振られている P/N でいくつもの種類 ( 仕様 ) に細分化されています。

例えば VFO 回路の有無以外にも、電源も +12V と +5V の両方必要な仕様と +5V 単一電源仕様の違い、ソレノイドの有無の違いなどが有ります。

そのほか、制御用コントローラ自体も日電製の個体とモトローラ製の個体があり、また、ヘッドもミツミのロゴ入りの個体、NEC のロゴ入りの個体と、組み合わせが様々です。

これらはどこかの時点で切り替えたのか、それとも生産ロットや工場の違い ( 調達ルートの違い ) で併用していたのか、ハッキリとした事は分かっていません。

以上のような理由から、型番が同一であっても相互に転用出来る場合と出来ない場合、どちらも有りますので注意が必要です。詳細については、先述した工作室の記憶様の「FD1137D の分解と修理」を参照してください。


保守について

FD が挿入しづらい場合、FDD 内部の金具に塗布されている潤滑油が乾燥して金具同士が固着している可能性が有り、その場合は分解して古い潤滑油の除去と、新しい潤滑油の塗布、再組立を行う必要が有ります。

その他、FD 検出用マイクロスイッチの接触不良や電解コンデンサの液漏れなどの不具合も発生する可能性が有りますが、この場合も清掃、部品交換など適切な保守を行う必要が有ります。

何れの内容についても、工作室の記憶様の「FD1137D の分解と修理」で FD1137 シリーズにおける保守事例が公開されていますので、必要な場合は参照してください。

なお、工作室の記憶様の「FD1137D の分解と修理」では、この記事の執筆者からの投稿も混ざっていますが、FD1137 シリーズに関する情報は出来るだけ同一のページにまとまっていた方が参照しやすいだろう、という判断も有って幾つかの情報のとりまとめを依頼のうえ、掲載して頂いています。


参考文献


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